★ 綺羅星学園包囲網 ★
イラスト/キャラクター:御子柴晶


<オープニング>

「そ、そうなんですか!? で……、みなさんは無事? はあ、それは幸いでしたが……学校はまだ混乱状態? わ、わかりました……」
 植村は電話を置くと、脂汗をぬぐった。
 『赤い本』について重要な情報があきらかになったのはいいが、綺羅星学園の生徒や教師たちが暴徒化し、元凶であるとおぼしき国語教師の女が混乱に乗じて逃亡したという。
 さて、どうするべきか、と立ち上がった彼の目に、ひとりの男の姿が飛び込んでくる。
 対策課のカウンター越しに見えた姿は、ゆったりした布の古代風の衣装で長躯を包んだ若い男である。端正な顔立ちや、鍛えられた体つきは彫像を思わせる。背には、銀色の金属でできた翼めいたものを負っている。
 ムービースターだろうが、はて、どこかで見たような……と、思った植村の意識の中で、ひとつの記憶が実を結び、そのことが彼を呼吸が止まらんばかりに驚かせる。
「すまない。私の失策だ。さりげなく誘導して真相に至らせようと思ったが、敵がこのような策を用意しているとは思わなかった。さすがに狡猾……『知識』をつかさどるとされるだけのことはある」
 男は言った。
「あ、あ、あなたは……」
「久方ぶりだな、地上の民よ。ミダスはもう来ているそうだな? さて……わが兵を動かせればいいがあいにくそれは禁じられているゆえ、諸君の力を借りたい」
「あ、あなた、タナトス兵団の……!」
「さよう。タナトス兵団3将軍が第2席、白銀のイカロス。新たな命により降臨した。これより、ティターン神族との戦いを開始する。敵は『識ることの枷・テイア』。言葉に呪力を与えて統べる女神だ。尻尾を見せたこの機を逃さず、仕留めなくてはな」

★ ★ ★

「ティターン神族……。はあ……」
 説明を聞いた市長の第一声は、なんとも気の抜けたものだった。
 いくら銀幕市の住人でも、神だの何だのと言われて、にわかに実感を持てるはずがない。
「オネイロス神らとは異なる勢力の神々が、銀幕市を侵略している――という理解でいいかね?」
 マルパスは、しかし問題をきわめて現実的な側面からとらえて言った。
 イカロス――死の軍勢の将軍だった男は頷く。
「そのとおり。ただし、かれらは実際的な武力まで持ち込むことはできなかったようだ。あの生き物……ダイモーンというが、あれを通じて人間を操っているにすぎない。あれを倒せば、その1柱は撤退させることが可能だろう。ひとまず……周辺地域の混乱を抑えて、テイアのよりしろとなっている女をとらえねばならない」
「ふむ。広域のすみやかな制圧が必要、と。……植村くん、人手は?」
「今、広報しています。急ですからどのくらい集まっていただけるかわかりませんが……」
「よし、援軍を投入だ」
 マルパスは言った。

 数分後、市役所に、迷彩の戦闘服に身を包んだ男たちと、ガスマスクを装備した特殊スーツの男たちとが集合していた。
「というわけで、すでに有志の市民が綺羅星学園周辺――銀幕市北東地域へ向かっている。ノーマン小隊、ハーメルン、両部隊は市民の援護や支援活動を行ってもらいたい。何か質問は?」
 ケイ・シー・ストラが片手をあげた。
「その任務はわれわれハーメルンだけで十分かと。資本主義のブタの手を借りる必要はない」
 隣で、ジェフリー・ノーマンが鼻をならし、彼の部隊員へ言った。
「おい、安物のコニャックの匂いがするが、どこかで共産主義のイヌが小便でもしているのか?」
「……」
「……」
「……作戦行動には協調してあたるように」
「……マルパスさん……あきらかに人選ミスではないでしょうか……」
 植村の不安はよそに、戦いの火ぶたは、否応なく切って落とされていた。


<ご案内>

銀幕市民の心に不安の種子を植え付け、さまざまな事件を引き起こしてきた『赤い本』。それは、銀幕市に人知れず暗躍してきた「ティターン神族」……その一柱である「識ることの枷・テイア」の陰謀でした。

テイアは、陰謀が露見するにあたって、逃亡をはかります。ここで彼女をとり逃してしまえば、あらたな不安の種子が銀幕市に蔓延することになるでしょう。彼女が教師・川原貴魅子の肉体をよりしろに潜伏していた綺羅星学園を中心に、包囲網が敷かれることとなりました。

→関連ノベル『サーチ・フォー・ザ・ブック』
→関連ノベル『プライベート・アイby綺羅星学園』
→ティターン神族とは?

この作戦は綺羅星学園から逃亡しようとする川原貴魅子(識ることの枷・テイア)の身柄を拘束するとともに、彼女の能力で暴徒化した学生・教師、および、かれらから混乱と恐怖が感染して、同じく暴徒化していきつつある周辺住民を制圧することです。
できるだけ、人々は傷つけずに無力化することが望まれるでしょう。

このイベントは集合ノベル形式で行われました。
※集合ノベルの執筆はリッキー2号WRと龍司郎WRが担当しました。




<ノベル>

■綺羅星学園

■綺羅星ビバリーヒルズ

■銀幕広場、市役所

■アップタウン住宅街、市立中央病院

■プロダクションタウン

■スタジオタウン

■杵間山

■ミッドタウン繁華街


<作戦状況>

ケイ・シー・ストラ
同志たちよ! 綺羅星学園包囲網は見事、成功を収めたぞ。
迅速な集団の無力化はわれらハーメルンの得意とするところだからな。ところで資本主義のブタは山に行っていたそうだが、トリュフでも探していたのか?

ジェフリー・ノーマン
おい、聞いたか。共産主義のイヌは学校に行ったんだと。イヌが何を勉強するんだ。お遊戯か?
そういえば綺羅星学園では、来週から、延期になっていた文化祭が行われるそうだ。そうかわかったぞ、わんわんショーだな!

ケイ・シー・ストラ
おい、ブタども。トリュフは見つかったのか? そしてまた肥え太るんだろう。

ジェフリー・ノーマン
おまえらこそ、ちんちんはできるようになったか。やってみせろ。

ケイ・シー・ストラ
貴様……私と同志を辱めるのもいい加減にしろ、この下衆野郎!

ジェフリー・ノーマン
うるさい。気に食わないならここで決着をつけてやろうか!


・綺羅星学園………………38名
・綺羅星ビバリーヒルズ…16名
・銀幕広場、市役所………29名
・アップタウン住宅街……29名
・プロダクションタウン…20名
・スタジオタウン…………15名
・杵間山……………………22名
・ミッドタウン繁華街……29名

※最多意見にもとづき、ノーマン小隊は杵間山へ移動しました。
※最多意見にもとづき、ハーメルンは綺羅星学園へ移動しました。





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