【異世界横断運動会】天空演武会

「異世界横断運動会」ヴォロス会場で行われる競技「天空演武会」のための掲示板です。(終了しました。ご参加ありがとうございました)

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【チーム:N】(一一 一/鹿毛 ヒナタ/相沢 優/ゼシカ・ホーエンハイム) (8)   【一葉の栞と一条の矢】 演武者:明日葉・ティアラ・アレン・上城弘和 (4)   【水彩音】(福増 在利、テューレンス・フェルヴァルト) (4)   【Fairy Tale】(Marcello・Kirsch/ハーミット) (6)   【Diclose】(クアールの妖精獣、ウルズとラグズの演武) (5)   【3st.晴天Popstyle】 (ファーヴニール) (2)   【ディラック飛行隊】わくわく航空ショー (5)   Ice sculptures (幸せの魔女の演武) (2)   虎京劇(リエ・フーの演武) (2)   【夢幻能・焔神楽】(灰燕・湊晨侘助・呉藍) (2)   【Zwei Magier】(ディラドゥア・フブキ) (2)   【長命参月】~相生の武~(青燐、紫雲霞月、黒藤虚月) (2)   【氷鱗】(グラバー、グレイズ・トッド) (2)   Lacrimosa~抄録~(東野楽園の演武) (2)   【炎雷爆閃】チーム(メンバー:小竹 卓也、チェガル フランチェスカ) (4)   【場内販売】(雑談スレッド) (17)  

 

[0] 使用方法など
事務局 2011-11-23(水) 12:35
<オープニング>

 ロストレイルはヴォロス上空に停車している。車窓の下に広がるのは広大な峻険な山々である。鋭いいただきは雪をかぶり、裾野は深い緑の森に沈んでゆく。ヴォロスの豊かな自然の風景は美しいが、そこにはひとの営みは見られない。人々の生活圏からは遠く離れた、ここは秘境だ。
 その秘境を眼下に見下ろす空のうえに、忽然とプラットフォームがあらわれる。そしてロストレイルの線路が伸び、分岐して宙空を走る。トレインウォーの際に行われるように、ロストレイルを中心とした周辺に足場が築かれていった。
 プラットフォームがぐるりと円形になって、縦横無尽に走る線路を取り囲んだ。
 そこに降車したロストナンバーたちが立つ。
「ハイ、説明は私から行わせていただきまーす」
 柊マナのよく通る声が響いた。

「『天空演武会』は、この空中の線路でつくられた足場のうえで、『演武』を披露してもらうパフォーマンス大会です。演武というのは、武道で身につけた『型』をやってみせることですけど、とりあえずカッコイイ感じのものならなんでもいいです。トラベルギアや各自の特殊能力を使って、『自分のすごいところ』をわかってもらうような感じのパフォーマンスをお願いします。周囲に危険が及ぶようなものはダメですけど、それ以外はなにをしても構いません。できれば、見る人の目を楽しませてくれるようなものがいいですよね」

 プラットフォームの一画には鑑賞席がしつらえられており、そこには、竜の特徴を持つ人型種族の一団がいた。ヴォロスのドラゴンの末裔と言われる古代種族ドラグレットだ。かつて前館長がヴォロスで親交を結び、その後、ロストナンバーたちがかれらと交流を持った経緯は報告書をひもとけばわかるだろう。
「特別ゲストとしてドラグレット族のみなさんをお呼びしました。審査員をお願いしたいと思います♪」

<ご案内>
この掲示板は「異世界横断運動会」の競技のひとつをあらわすイベント掲示板です。
どなたでも参加できます。新規スレッドは下記ルールをお読みのうえ、作成して下さい。

●ゲームルール
この掲示板では、ひとつのスレッドがひとつの演武をあらわします。
演武は一人でやっても構いませんし、仲間と一緒に行なっても構いません。

披露された演武は審査員によって採点されます。
が、それはさておき、参加することを楽しみましょう!

==<審査員紹介>==(各自の好みを考えて演じると高得点かも?)

翡翠の姫・エメルタ
「遠き地の友人たち、お招きありがとう。皆の技を拝見するのがとても楽しみです」
エメルタはドラグレットの族長の娘で、自身も女戦士です。優雅な美しい動きを見せればエメルタの目を引くことができるでしょう。また、戦う女性や見目麗しい男性にも関心があるようです。

蒼き雷鳴・ザクウ
「演武か……むしろ私も参加してみたいものだな」
ザクウはドラグレット族随一の戦士と呼ばれている将軍で、次期族長候補です。ザクウは正確無比な緻密さや格式、他者への礼節などが感じられるものを評価します。また、意外ともふもふしたものも好きです。

首狩り大将・オウガン
「はるばる見に来てやったぞ! おまえたちの力を見せてみろ!」
オウガンは勇猛果敢で知られる将軍です。粗野なところもありますが気のいい男です。オウガンはとにかく派手なもの、スケールの大きなものであれば喜びます。あと、胸の大きな女性も好きです。

異端児・アドン
「俺が審査員? いいのか……?」
アドンはドラグレットではなく人間ですが、幼い頃にドラグレットに拾われてかれらの一員として育ちました。アドンは「仲間が協力している様子」に感銘を受けるようです。

※参考情報:ドラグレットについて
http://tsukumogami.net/rasen/event/ev12/ev12.html
===========

●参加方法
参加したい人はこの掲示板に新規スレッドを作成して下さい。標題は「自分の名前」か「チーム名」でお願いします。

「最初の記事の内容」がそのまま「行った演武の内容」となりますので、各自、どのようなことを行ったのかを「文章で描写」して下さい。

演武の内容とされるのは「最初の記事」だけです。
2番目以降のスレッドの発言は、観ている人の感想や反応などとなります。誰でも、誰の演武に対してでも感想を発言することができます。

チームで参加する場合も、スレッドは1つで、代表者が仲間の演技も含めて最初の記事に描写します。事前に仲間で打ち合わせをしておくとよいでしょう。

所定のスケジュールに従って、各スレッドに審査員からの採点のレスがつきます。

●スケジュール
参加締切:12月2日終日
※参加期間終了です。今からのスレッド作成はできません。

採点期間:12月3日~4日
(上記の間に採点のレスがつけられていきます。みなさんの感想のレスなどはいつつけても構いません)

スレッド先頭/ スレッド末尾

 

[25] 【チーム:N】(一一 一/鹿毛 ヒナタ/相沢 優/ゼシカ・ホーエンハイム)
一一 一(cexe9619) 2011-11-30(水) 21:29
 ヴォロス上空、プラットフォーム。
 天空に位置するその会場には、絶えず風が吹いていた。常にささやかに参加者達の頬を撫ぜる風は時折悪戯にその強さを増し、強者達の旗印をはためかす。
 微かな風の音が、カチリという場違いな軽い音をかき消した。そして同じくその風が、舞台裏のラジカセから流れ出した音楽を見る者達へと運んでいく。それが彼らの演武の始まりであった。

 低音から始まる暗く重々しいメロディと共に、突如としてプラットフォームがモノクロームに染まる。ざわりと大地が一瞬震え、突如現れ出でたのは色彩を欠いた森だった。黒に染まった大地から生え、鬱蒼と生い茂るのは不気味な黒い木だ。シルエットだけで構成された黒い森はプラットフォームに吹く風に合わせ、まるで笑っているかのようにざわざわと揺れ動く。その光景は見る者によっては影絵を連想させたかもしれない。
 黒い森の中、二人の少女が現れる。
 一人は旅芸人の服装をした少女、もう一人は巫女風の民族衣装を着た幼い少女だった。審査員のドラグレット達が見たならば、その巫女服のデザインが彼らの部族のものをモチーフにしたものであるということに気付いただろうか。
 二人の少女は黒い森の中を怯えた様子で進んでいく。だがそんな少女たちを嘲笑うかのように、揺れ動くシルエットは巧みに彼女たちの行く道を阻み、彼女たちを少しずつ森の奥へ奥へと誘っていく。
音楽がより一層不気味さを増す。再び唐突にぼこりと黒い地面が沸き立ち、大地から骸骨を模った異形の者達が現れ、少女たちを取り囲んだ。幼い巫女は怯えたように旅芸人の少女の手を掴み、少女もまた、幼子を守るようにその身を固めた。
 異形達は笑うようにカタカタとその身を揺らすと、一斉に非力な少女たちへと襲いかかる。哀れ非力な少女たちは、黒い魔物の中に押しつぶされてしまったかのように思われた。

 瞬間、吹き飛んだのは異形の群であった。

 先程まで異形達が集っていた場から、突如淡い光の円が広がる。それに触れた異形達は苦しむように身を捩り、その場から身を捩り距離を置いた。
流れる音楽が変わる。暗く不気味な旋律から、明るく勇壮感溢れるメロディへ。
 古ぼけた剣を構えた青年が、少女たちの前に颯爽と姿を現した。

 猛々しい音楽に合わせ、旅装の剣士は剣を振るう。横薙ぎの一閃で三体の異形を切り飛ばすと、返す刀でもう一閃。青年の大きく思いきった挙動は見る者の目を引いた。黒い森の中、青年の剣が振るわれる度、刀身に反射した光が森を照らす。
 剣士の僅かな隙を突き、少女たちへと向かう異形も居たが、その者達はみなバチリと走った電流を浴びて地に倒れた。幼い巫女を守るように立ち塞がるのは旅芸人の少女であった。彼女が腕を振るう度、指先から電流が迸り、近寄る異形達を打ち伏せた。少女の小袖の中に隠されているものについて意識を向けるのは、この演武においては無粋というものだろう。
 倒れて尚諦め悪く巫女へ手を伸ばそうとする異形は、巫女本人の見よう見まねキックによってあえなく地へと消えていった。
 幼い巫女を守るように、二人の若者は武を振るう。その勢いに気押されるように、湧き出る異形達もまた少しずつ数を減らしていった。

 では異形達は完全に諦めたのか。
 否。

 骸骨を模った異形達があらかた姿を消した丁度その頃合い、黒い森の一角がぼこぼこと沸き立った。泡立ち波打つ大きさはこれまでの比ではなく、対峙する少年少女たちの何倍もの大きさにも育っていく。これまでとは違った敵が現れるのだという予兆に、青年は剣を構え、旅芸人の少女はパチリと電流を走らせ、幼い巫女はぎゅっとその手を握り締めた。
 けれどその時、波間から現れたのは巨大な敵ではなかった。
 突如生えた一本の棘が、旅芸人の少女の身体を貫いた。
 一瞬の出来事だった。恐ろしい速度で生えた黒い一本の棘は旅芸人の少女の身体を貫き、その反動で少女の身体は大きく後ろへと吹き飛ばされる。倒れた少女の身体はそのまま草木の中に隠れ、見えなくなった。巫女が小さく悲鳴を上げ、吹き飛んだ旅芸人の少女の元へと駆け寄り、彼女もまた舞台上から姿を消す。剣士は驚いた顔で振り返ったが、すぐさま厳しい顔で剣を構え直した。泡立つ影からは、今度こそ巨大な敵が姿を現そうとしていた。怪しげなローブに身を包んだ巨大な死神が、影の中からゆっくりとその身を現す。
 クライマックスに相応しい、緊張感に溢れる早いリズムの物へ、音楽が変わっていく。

 この時、“彼ら”にとって予想外の出来事が起きた。


 演出によって吹き飛んだ一一 一は、倒れながら自分の迫真の演技に内心ガッツポーズを決めていた。刺さったかに見えた影はマジックナイフの要領で彼女の体に当たった瞬間に引っ込んでおり、彼女はただそれに合わせて自ら後ろへと吹き飛んだように動いただけだったが、その演技は予想以上に上手くいった。ギアで舞台裏から演出全般を手掛ける鹿毛 ヒナタの発案だ。
 舞台上の相沢 優は二人の少女が無事に舞台袖へと消えた事を確認し、自分の演技へ戻ろうとしていた。事前の話し合いで決められていた演出では、ここで現れる魔物のボスと、剣士である優の一騎打ちが始まる予定だった。一達が消えたのとは反対側の舞台袖で、密かに影を繰るヒナタへ視線を送る。
 吹き飛んだ一と共に舞台裏へと駆けこんだゼシカ・ホーエンハイムは演技では無く本気で驚いていた。事前に演出だと告げられてはいたが、幼い少女にとって目の前で人が刺されたように見えた光景は一瞬その事を忘れてしまう程度には衝撃的だった。ゼシカは驚き、慌てて一へと駆け寄ろうとしていた。
 その時、“彼ら”にとって予想外の出来事が起きた。

 舞台であるプラットフォームはヴォロスの上空に存在している。強者達が己の武を見せる事を本来の目的としているその場に、壁や手すり、命綱となりえるようなものが存在している筈もない。
 また上空に位置するが故に、舞台には強弱問わず常に風が吹いていた。それは運の悪い偶然だった。突如ごう、と一層強い一陣の突風がプラットフォームを吹き抜ける。
 それは、幼く小柄なゼシカの足を取るのには、充分な強さだった。

 吹き飛んだゼシカに最初に気付いたのは、彼女の最も近くに居た一だった。突然のアクシデントに一は慌ててその場から立ち上がり、バランスを崩したゼシカへと走り寄る。ほぼ同じタイミングで反対袖に居たヒナタが異変に気付いた。だが彼が直接走り寄るには距離が開きすぎており、咄嗟にヒナタは己の影を繰り二人の助けへと向かわせた。
 舞台上の優は、その立ち位置故に気付くタイミングが若干遅れた。舞台上に現れた巨大な死神の動きが精彩を欠いていることに気付いた優は、舞台袖で影を繰るヒナタの慌て様を遠目に見、そこでようやく異変へと振り返った。
 振り返った優の目に入ったのは、プラットフォームから落ちたゼシカと、半身を乗り出してゼシカの手を掴む一の姿と、その一を支えゼシカを引き戻す手伝いをするヒナタの影だった。異変を察知した優は演武を中断し、彼らを助けようと慌てて身を翻そうとしたが、ピタリとその身を止める。
 ゼシカを支え、ヒナタの影に支えられながら、振り返った一は優へと何事か叫んでいた。尚吹き荒ぶ強風によって声をはっきりと聞きとる事は難しかったが、視線の先で少女が力強く頷いたのを優は見た。そして、自分が為すべき事を察した。
 この一連の裏方のアクシデントは、表から舞台を見ていた者達には殆ど伝わる事は無かっただろう。故にその一瞬の間は見る者にとっては奇妙な間にしか思えなかったかもしれない。その間を繋ぐ為、優は自ら舞台中央へと躍り出た。

 実際の戦いにその身を晒す事と、戦いを表現する演技をする事は、似ているようで大きく異なる。実戦と違い、演武において要求されるのはいかに見る者の目を楽しませるかだ。優はそのことを理解していた。
 一旦鞘におさめた剣を腰溜めに構え、深く腰を落とし観客にも見えるようゆっくりと大きな仕草で剣を抜く。鞘から覗いた刀身は曇りなきその身に一瞬ヴォロスの雄大な地を映しだし、キラリと光を反射させ放たれる。気合と共に一閃二閃、光の軌跡が宙へと十字を刻む。

 舞台裏。ヒナタの影に支えられ、一はゼシカの両手を掴むと両腕に力を込めて引き上げる。それに合わせてヒナタもまた影を動かし、一とゼシカの身体を引き上げていく。宙吊り状態の少女は突然の出来事に怯え瞳に涙を浮かべていたが、唇を噛みしめ、暴れる事はなかった。
 少しずつ少女の身体が舞台へと引き上げられていく。

 表舞台。舞台裏での混乱を見る者に悟らせぬように、ヒナタがゼシカの救出へ意識を向けている事で、動きの少なくなった敵の親玉について観客に不審を抱かせない為に、時間稼ぎとも言える優の演武は続く。大きく剣を振り下ろし、その反動を使ってバック宙を決めると、着地と同時に防御壁を展開する。この舞台の最初に用いたものと違い、幾重にも重なるように展開されていく光の壁は花弁のようにも見えた。

 舞台裏。ヒナタの影によって引き上げられた一は、全力を振り絞りゼシカを引き上げた。どうにかプラットフォームへと戻ってきた二人の少女は尻餅を着きながらゼェゼェと息を吐く。反対袖からそれを確認し、ヒナタもまたほっと胸を撫で下ろす。そうして彼は意識を表舞台へと戻した。演出を手掛ける彼の助力がなければ、舞台裏の喧騒を誤魔化しきる事は難しかっただろう。
 大きく息を吐き、一はゼシカへと振り返る。その時、僅かに動いた彼女の足が、傍らに放置されていた自身のトラベルギアのスタンガンを踏み抜いた。

 表舞台。優の剣舞は未だ続いていた。だが熟練の武芸者が見たならば、その動きに限界が来ている事に気が付いたかもしれない。時間稼ぎの為の即興の演武には限界があった。視界の端、ヒナタが舞台へ意識を戻している事に気付き、やや気が緩んだ事もあったのだろう。
 手がもつれ、優の剣が彼の手から落ちた。慌てて掴み直そうとした手は剣の柄にぶつかり、逆に剣を遠くへと突き飛ばしてしまう。優は慌てて手を伸ばしたが、既に届かない範囲まで飛んでしまった剣は回転しながら地面へと落ち――…

 瞬間、落雷!

 雲一つなかったヴォロスの青空に、轟音と共に稲光が走った。一のトラベルギアであるスタンガンは彼女の意志に反してその威力をランダムに刻む。たまたま足で踏まれた事でたまたまスイッチが入ったスタンガンはたまたま超威力を発揮した。舞台裏で一一 一は感電した。
 だが結果的に、その突然の落雷は優の失敗から見る者の目を逸らす事に成功した。そしてそれを引き継ぎ、真っ先にフォローに回ったのは舞台裏のヒナタだった。影を繰り、舞台上の死神を身悶えさせる。あたかも今の落雷が死神の身を焦がしたかのように。そうして苦しみ、やがて死神は大地にどうとその身を倒した。観客達には、剣士の剣と魔法の落雷によって、敵の親玉が倒された、そんなストーリーに見えた事だろう。
 だが、問題はここからだ。さてどうやってこの後を繋げば良いのだろうか? もういっそ自分が表舞台に姿を現して、悪の親玉的な尊大台詞でも言ってみようか。ヒナタが混乱した頭でそんな覚悟を決めかけた時、舞台中央へ走り出た小さな影があった。
 ゼシカだった。


 ゼシカは自分が皆の足を引っ張ってしまった事を察していた。だからこそ自分も何かしなければ、という使命感に意識を燃やした。必死に走り、舞台へと走り出る。途中で一度転んで鼻の頭をすりむいたが、すぐに立ちあがって舞台の中央まで踊り出た。
 高い所から落ちかけた事は怖かったし、転んで鼻の頭も痛かったが、ゼシカは泣かなかったし挫けなかった。孤児院でやったお遊戯を思い出しながら、舞台の中央で一生懸命踊る。
 気付くと彼女のすぐ傍を、セクタンのアシュレーも一緒に踊っていた。ひょこひょこ跳ねるような幼子の拙い動きは一見すれば演武という場には似つかわしくなかったかもしれない。けれどそこに至るまでの場の流れと、彼女の着ていた服が功を奏した。幼子のお遊戯は、巫女の演舞へ姿を変えた。
 ややタイミングがずれたものの、そこで音楽が切り替わる。激しい戦いの曲から、場を落ちつかせる穏やかで優しい曲へと旋律が変わる。

 アシュレーと共に踊りながら、ゼシカはギアのぞうさんじょうろを取り出し、踊りながらぱたぱたと周囲へ水を撒く。魔法のジョウロは幾重にも重なる虹をゼシカの頭上に作りだし、巫女の神秘的な舞に磨きをかける。
 そうして最後にポシェットからクレヨンを取り出すと、ジョウロを使って優しく水をかけた。彼女のトラベルギアの特性は、水をかけた無機物に一定時間命を宿し、自立させること。命を吹き込まれた色とりどりのクレヨン達は、一斉に動き始めた。

 そうして世界に色がつく。

 ヒナタの影によって作り出されていたモノクロームの世界に、ゼシカによって命を吹き込まれたクレヨン達が色をつけていく。緑のクレヨンは森の色、青のクレヨンは空の色、赤のクレヨンは花の色。カラフルなクレヨンによって、舞台の中の世界は彩られていく。
 演出とはいえ、自分の作りだした世界に色がついていく様を見てヒナタが胸中で何を思ったかは判らない。ただ彼は最後まで良き演出家であった。彩られる様に合わせ、不気味な森の様相を観客達に気取られぬよう少しずつ変化させていく。花が咲き、木々に実がなり、不気味な魔物たちは姿を消し、代わりにうさぎやキツネなどの小動物が楽しげに動く。
 木の枝に停まったメジロに色が着いたのを最後に、舞台の世界全てに完全に色がつく。それと同じタイミングで、ゼシカもまた舞を止めた。荒い息を吐きながら観客席を眺める。もしかしたら父親が見ていてくれたかもしれないという、淡い期待が彼女の胸をかすめた。

 音楽が止まり、ラジカセのカチリという音が場違いに響いた。

 剣を無事回収し、鞘に収めた剣士こと相沢 優が穏やかに笑いながら、幼い巫女、ゼシカ・ホーエンハイムの傍に立つ。何故か体の数か所が焦げている旅芸人こと一一 一が、舞台裏の功労者、鹿毛 ヒナタの背を押しながら舞台中央へと現れる。
 或いはこの段になって見る者は気付いたかもしれない。そこに立った彼らが皆、本来大した戦闘能力を有さない、極めて平凡な一般市民達であったということに。
 そうして最後の最後まで使いきられずに残っていた赤色のクレヨンが四人の頭上に大きなはなまるじるしを描いたのをラストに、四人の一般市民は笑顔で礼をし、演武の幕を締めくくった。

「「「「ありがとうございました!」」」」
.
〜〜発言が2件、省略されました〜〜
[41] SG(シャドウグラフィックス)の中の人
爽やかな笑顔(主観)
鹿毛 ヒナタ(chuw8442) 2011-12-02(金) 23:19
皆お疲れー! 特にリーダー、まじお疲れー!!
よかったー、無事に終えられてほんっっとうによかったー!

……で、Nって何の略?
[46] お疲れー!
うん、うん。楽しいよな!
相沢 優(ctcn6216) 2011-12-03(土) 12:16
無事に演武終わったな。

皆、本当にお疲れ!!
あとは順位発表があるけど、正直予想以上に皆と演武出来て楽しかったから、なんかもういいや、とか思ってしまった(笑)

一、フォロー有難うな(笑)
[61] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:37
翡翠の姫・エメルタ
「これは物語仕立てになっているのですね。さりげない気遣いも嬉しいものですよ」
評価:★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「剣技は荒削りだが筋は悪くない。努力を感じる」
評価:★★★★

首狩り大将・オウガン
「もうちょっと短くても良かったけどな。あと、もうちょっと色っぽい姉ちゃんが出ててもよかったけどな!」
評価:★★

異端児・アドン
「うまく言えないけどなんか感動した! なんか一生懸命やってくれた気がする」
評価:★★★★★

総合評価:15点(20点満点)
[68] (日付的にまだ大丈夫なのか、ドキドキしつつ…)
元気でやってるか?
テオドール・アンスラン(ctud2734) 2011-12-04(日) 12:02
(笑顔で拍手を送りつつ)
お疲れ様、とても素敵な演武だったよ。

物語も、開催場所のヴォロスの雰囲気にあっていたし「良い物にしよう、観客に楽しんでもらおう」と皆が協力して頑張っているのが伝わってきたよ。

楽しい一時をありがとう。
[69] お疲れ様でした。
何か良い事あるかな~。
一一 一(cexe9619) 2011-12-04(日) 19:15
うふふ、採点の結果も出たようですね。でもまあこういうのは参加することに
意味があるのであって評価については些細なこtオウガン許すまじ…ッ!!
(自分のドラム缶ボディにorzしている)

>ゼシちゃん
へへへ、助けたのは私だけじゃないよ。あのお兄さん達も助けてくれたし、
ゼシちゃんにも助けられたしね。最後のダンス超可愛かったー!
(駆け寄ってきた頭を撫で撫で撫で撫で)

>ヒナタさん
おっ、来ましたね影の功労者! お疲れ様です影日向さん!
(満面の笑顔で名前ネタを引きずった)

本当に無事に終わって何よりです。ふふ、こういうのが後々良い思い出になるんですね!
Nの略なんてハッハッハノーマルとかナチュラルとかニュートラルとかなんか
そういう……Cとも迷いましたよ! コモン的な意味で!(どう転んでも普通)

>優さん
こういうのは何だかんだで楽しんだ者勝ちってヤツです。フフ、私は楽しかったですよ!
優さんもお疲れ様でした! とはいえ舞台裏の影響で優さんの雄姿を
しっかり拝めませんでしたからね……どっかでDVD販売とかしてないかな?

>テオドールさん
きッ、貴様見ていたな!?
いやぁ、改めて観客が居たんだなーって思うと恥ずかしくなってきますね…!
えへへ、ありがとうございます。皆で頑張りましたよ、楽しんで貰えたなら幸いでっす!
(しゅびっと敬礼)

 

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[40] 【一葉の栞と一条の矢】 演武者:明日葉・ティアラ・アレン・上城弘和
上城 弘和(cnvs6158) 2011-12-02(金) 23:16
 ロストレイルのプラットフォームによって作られた円形の舞台に、荷物を持った三人が歩み出てきた。
 まだ幼さをその容貌に残している少年を先頭に、若い女性とフレームレスの眼鏡を掛けた青年が続いて舞台の中央に進み出る。
 持っていた荷物を置いてから、三名は横一列に並び、深々と礼をした。
「それでは、私たちの三名で演武をしたいと思います」
 最初に口を開いたのは、フレームレスの眼鏡を掛けた青年、上城弘和であった。
「演武を行うのはこちらに控える少年、明日葉になります」
 上城に紹介された明日場が一歩前に出て会釈する。その右側頭部からは赤黒い一本角のような瘤が伸びている。
「そして、助手を務めるのが、こちらの女性、ティアラ・アレン。進行役は私、上城弘和が務めさせて頂きます」
 名前を呼ばれた時点で、ティアラも一歩前に進み出て会釈する。
「それでは、私たちの演武をお楽しみください」


 すぐに弘和とティアラは袋から取り出した小道具を組み立て始め、明日葉は持ち込んだトラベルギアのまろばいの具合を確かめる。
 そして、組み上がったものは、簡単なお手製の的であった。
「それでは、まずは肩慣らしでございます」
 明日葉が的の正面に立つ。的までの距離30m。審査員席からは明日葉の姿が見えている。
 明日葉がまろばいに矢を番え、構え、射る。
 それは、気負った風もなく、無駄のない洗練された射の動きであった。
 たん。と軽やかな音を立てて的の中央に矢が生えた。
「はい、見事に命中でございます! では、難易度を上げたいと思います」
 弘和がティアラへと目配せをしながら、的から矢を引き抜いた。
「次は、明日葉には目隠しをした状態で的を狙ってもらいます」
 ティアラは明日葉へと小走りに駆け寄った。 
 手に持った黒い布で明日葉の目を覆ってしっかりと結び付ける。
「大丈夫? キツかったら言ってね?」
「これくらいなら平気だ」
 準備が出来たティアラは弘和へと手を振った。
「では、目隠しの準備ができたようです。本当に見えなくなっているかどうか怪しいと思われるかもしれませんが、そこは私たちをご信用ください」
 そして、明日葉が射れば、先程と全く変わらず的の中央に矢が刺さった。
「はい、また見事に命中です。よろしければ、拍手のほどをお願い致します」
 弘和は拍手を促すように審査員たちを振り返った。
「では、肩慣らしはここまで。これから明日葉の本領をご覧に入れましょう」
 弘和は両手を大きく振って、二人に合図を送った。
 ティアラは明日葉の目隠しを外すと、的の傍に立っている弘和の方へと小走りに近寄ってきた。
 しかし、明日葉は的から離れるように走り出した。
 走る、円形の舞台から飛び出し線路へと着地。
 走る、分岐している線路を跳び移り、さらに遠くへ。
 そして、トラベラーズノートに連絡が入った時点で足を止めた。
 振り返れば、的は米粒のようであった。


「今、明日葉が居る場所は的から250mほど離れた場所でございます。明日葉には、あそこから矢を見事命中させてもらいましょう」
「姿が見えないほどの離れた場所から矢を命中させたら凄いでしょう?」
 明日葉と的の距離を真眼で計測した弘和に、ティアラが付け加えた。
「矢を射るタイミングは、私の目でお教えしますので、命中の瞬間をお見逃しなく」
 弘和の両目は青く染まっていた。


 明日葉はまろばいの弦を調整し、張りの強さを確認していた。
「良し」
 自分の望む張り具合になったまろばいに満足そうな笑みを小さく浮かべた。
 そして、数回深呼吸を繰り返してから、おもむろに明日葉は瘤を握り潰した。
 僅かに走るの頭痛と息苦しさ。
 いつもの感覚が過ぎれば、明日葉の五感は冴え渡り、世界が広がる。
 的へ目を向ければ、矢が刺さっていた穴さえ解る。
 矢を番えて、弦を引き絞る。
 絶対に外さない、と強い想いをまろばいに込める。
 ぎりり、ギアが明日葉の想いに応じて力を高めてくれる。
 少年の筋力では届かない距離を超えて、矢を飛ばすために。


「来ますよ、的に注目してください!」
 弘和が叫んだ瞬間、風を切り裂いて飛来した矢が的の中央を貫いて止まった。
「見事命中しました! 審査員の方々、拍手をよろしくお願い致します!」
 弘和は矢に貫かれた的を指し示した。
「これにて演武は終了、としたいところですが、最後にもう一度だけ明日葉に頑張って頂きます」
「しかし、明日葉だけに頑張ってもらうのでは不公平になりますので、私、アレンと上城の両名も演武に加わりたいと思います」
 ティアラが荷物から持ち出してきたのは大量の白い栞であった。
「これから明日葉には、この栞の中の一枚を狙い撃ちしてもらいます。もちろん、全て同じ色をしていたら、どれを狙ったものか解りませんよね」
 ティアラは栞の山から一枚だけ指で挟んで取り出して、そっと自分の口元に近付けた。
「赤く色付け」
 ふっと息を吹きかけた場所から、栞が赤く染まった。
「そこで、この無数にある栞の中から、この赤い栞だけを射抜いてもらいますね」
 ティアラは悪戯っぽく微笑んだ。その横で、弘和は的を新しく変え終えていた。
「それでは、これから私とアレンの両名で栞をかき混ぜたいと思います」
 背広の内ポケットから出した護符を大量の栞の上に置いて、弘和は印を結んだ。
「湧き起これ、風よ」
 弘和の術によって吹き出す風に巻き上げられ、大量の栞がくるくると空中で踊り出す。
 その中へ、ティアラは赤いを栞を放り込めば、赤はすぐに白へと埋もれてしまう。
「栞よ、栞よ! 我が意志を受け舞い踊れ!」
 ティアラが両手を翳せば、吹き上がるだけだった栞に流れが生まれる。
 的を中心にした球状に栞が舞い踊る。弘和の術にティアラの魔法を合せて栞の動きを制御する。
 紙吹雪ならぬ栞吹雪の完成であった。
 目まぐるしく飛び回る白色の中に、時折赤色が掠める。
「さあ、この動き回る栞の中から、見事赤い栞を射抜くことができるでしょうか?」
「最後は、私からの合図は無しにさせてもらいますので、目を凝らしてよーく見ていてください」


 的の周囲で何かが飛び回っているのが明日葉に見えた。
 打合せ通りに準備ができたようである。あの中から赤い栞だけを狙うのが明日葉の最後の仕事だ。
 目を閉じて深く呼吸をして、心を落ち着ける。
 そして、明日葉は再び瘤を握り潰した。
 僅かに走る頭痛と息苦しさは、一度目よりも強くなっているような気がする。
 それを気のせいだとやり過ごして、明日葉はゆっくりと目を開いた。
 的の周囲を旋回する大量の栞が解る。目を凝らしていれば、時折赤い色が走る。
 その赤だけに意識を集中させる。
 目を細め、呼吸は深く、意識は絞る。
 広がった世界を細く深く絞り、自分と獲物だけの世界を作り出す。
 目は赤を見。耳は音を聞き。指は弦を絞り。鼻は息を吸い。口は息を出す。
 自分と赤に必要なものだけを残して、全てを集中していく。
(狩りと同じように、行く先を狙うんだ)
 与えられた仕事は全力でやり遂る。自分の在り方は行動で示してみせる。
(そのための力なら、ここに在る!)
 明日葉の信念にまろばいが応える。少年の体に再び力が篭る。
 ぎりりり。まろばいの弦が限界まで引き絞られるが、明日葉の体は微動だにしなかった。
 求める瞬間を待ち、明日葉は狙いを定める。耳元で静かに脈打つ鼓動が聞こえている。
 そして、赤い色が浮き出た刹那、明日葉は矢を放った。


 空を裂いて飛来した矢が、再び的を貫いた。
 それに合せて、飛び回っていた無数の栞が一斉に地面へと落ちた。
 矢は的の中央を貫いてはおらず。そして、的を突き出したその矢じりには何も付いていなかった。
 それを見た審査員たちに失望したような空気が流れた。
「おや、ここは拍手だと思いますよ」
 弘和は的に手を掛けて、審査員たちが良く見えるようにと向きを変えた。
 すると、そこに赤い栞があった。
 的の裏へと突き抜けた矢じりを通り越し貫かれた赤い栞は、矢の軸で的の表の部分に張付けられていたのであった。
「ご覧のように見事に成功でございます!」
 ティアラは的を取り外すと、審査員たちに見せて回った。 
「それでは、これにて私たちの演武は終了とさせてもらいます。少しでも楽しんで頂けたならば幸いでございます」
 的を持ったティアラが弘和の元へと戻り、二人は姿勢良く立ち、深々とお辞儀をした。
 そして、顔を上げた弘和は、数枚の名刺をゆっくりと空へと放り投げた。
 何事かと見上げた審査員たちの前で、名刺は派手な火花を散らして花火のように爆発した。
 驚いた審査員たちが二人へと目を戻せば、そこにはもう誰もいなかった。


[42] お疲れ様でした。
上城 弘和(cnvs6158) 2011-12-02(金) 23:25
いやはや、どうにか上手く行きましたね。
こう言うとまるで私も演武をしたように聞えてしまうのは心苦しいですね。

>明日葉さん
お疲れ様でした。
明日葉さんがいなければ成立しなかった演武ですからね。いや、本当にありがとうございます。

>アレンさん
ご協力ありがとうございました。
最後の栞のコントロールはアレンさんがいなければ、扇風機で紙吹雪を飛ばしてる状態にしかできなかったと思います。

お二人ともご協力ありがとうございました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

NPCをお貸しくださいました四月一日WR、鴇家WR、本当にありがとうございました!
お借りしたのに、時間が作れずほぼぶっつけ本番で行ってます。おそらく絶対にあるだろう誤字脱字の指摘があれば遠慮なくぶつけてくださまし!
青田の方でも気づき次第こっそり修正掛けていきます。
[57] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:34
翡翠の姫・エメルタ
「弓なら私も得意ですがここまで正確には射てません。見事だと思います」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「よい腕だ。弓は技量もさる事ながら心のありようも映じるものだからな」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「面白かったぞ。もっとガーッて感じでもよかったよな」
評価:★★

異端児・アドン
「すごいな。どれだけ練習すればあれくらいになれるんだろう」
評価:★★★

総合評価:11点(20点満点)

[67] お疲れ様でした!

ティアラ・アレン(cytz1563) 2011-12-04(日) 02:21
弘和さんも明日葉さんもお疲れ様!
ちょっと緊張したけど、何とかなって良かったわ。

審査員の皆さんもありがとうございます!
楽しんでもらえたようで良かった。

 

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[34] 【水彩音】(福増 在利、テューレンス・フェルヴァルト)
福増 在利(ctsw7326) 2011-12-02(金) 02:32
笛の音が、聞こえたような気がした。柔らかな風が吹く。
舞台の端から、白い羽根が一枚中央へと風に乗り舞い落ちる。
それを追うように、その白い羽根の持ち主である、緑色の蛇竜人が歩いてきた。その周りを、蛇竜人の気を引こうとでも言うかのようにくるくると飛びまわり付いて行く30cm程度の、竜の妖精。
蛇竜人が輪で括っているその髪の先、普段はそのまま伸ばしている先には鉄の鈴が下げられていた。凛とした透き通った音色が響く。
再び風に吹かれ舞い上がらんとしたその羽根を、蛇竜人が右手で摘み上げ、顔の前に持ってきた。それに釣られる様にして妖精が右腕に乗り、羽根を掴んで取り上げる。
くるりと蛇竜人の方を向く竜の妖精。蛇竜人は微笑み、妖精の頭と顎を撫で、そしてゆったりと舞い始め、後を追ってリィン、リィィンと鈴の音が鳴る。
す、と腕を舞台の先へと伸ばしながらその舞が止まる。鈴の音が一際大きく鳴り響き、妖精が、腕を伸ばされたその先へと羽根を掴んだまま飛んで行った。
そのまま蛇竜人から離れた妖精は、軽快に飛び上がり、その身体が光に包まれ、人の姿を取りながら大きくなり。
そして少年とも少女ともつかぬ竜人の姿を取って着地した。
光の収まったテューレンスのその姿は、いつもの服とは少し違う。軽装の吟遊詩人の服を身に纏い、頭には羽帽子を被っていた。
羽帽子に、今まで持っていた在利の羽根を挿して付け加え、己のトラベルギアである笛を取りだして口を付ける。
同時に、在利が水の入った瓶の蓋を外した。まるで己の意思を持っているかのように、ギアから水がうねる透明の蛇となり宙へと溢れだす。再び在利がゆったりと舞い始め、それに合わせて水が舞う。
優しい、物語の序章のような旋律が笛から流れる。踊る在利の鈴が合わせる様に鳴り響く。
不思議な力に操られ、まるでリボンの様に地に落ちることなく、テューレンスのギアの効果できらきら輝きながらくるくると舞う水が、在利とテューレンスを覆うようにアーチを作ったその瞬間、それは起こった。
優しかった旋律が終わりを告げる様に、長く長く力強い1つの音を出す笛に合わせ、水が光を反射、虹の色に染まる。
形状も含め本物の虹となった水が、やがて笛の音が徐々に途切れるに合わせて色を失い、在利の瓶の中へと戻って行った。
瓶を剣の柄に見立て、鞘に納める動作をする在利の動きに合わせ鳴り響いた鈴の音が、序章を締めた。

笛を仕舞ったテューレンスが、腰の左右に挿した両方の鞘から青いサーベルを抜き放つ。両腕の金属の細工を施された腕輪がシャン、と音を立てる。
再び水の剣を抜き放った在利が祈る様に胸の前に翳す。透明な刀身が真っ直ぐに立ちあがり陽の光を受けて煌めく。
陽の光を反射しながら振り上げられた2本のサーベルが振り下ろされ、テューレンスが打楽器のように地を踏みならしつつ舞い始めた。腕輪の音に踏みならすリズムが加わる。
それに合わせて在利も舞い始める。だがその動きは小さく、テューレンスに合わせる様に。
水の刃がしなり、分かれ、テューレンスの刃を追う2本の軌跡となる。
テューレンス本人へは水が全くかかることなく、腕輪と鈴の音を旋律に透明な軌跡を引いて振るわれる青の刃。
大きく両腕が横へと振り上げられ、そのまま頭上へと持ち上げられたサーベル同士の切っ先が触れる。
2つの金属の音が鳴り響いていた所に3つ目の音が加わり、その上でサーベルを追って二又に分かれていた水がぶつかり、音を立てて弾けた。
テューレンスを避ける様にしてその周りに降り注ぐ水のカーテン。カーテンは舞台に落ちることなく、まさにカーテンとなりテューレンスの姿を歪ませる。
その中で、テューレンスが再び笛に口を付けた。
先程の優しい旋律とは違い躍動感溢れる笛の音が流れ始める。カーテンが同時に輝き始める。
初めは光の反射がより強くと言った感じだったその輝きが、音楽がより力強くなるにつれて強くなり、水のカーテンが光のカーテンに変わった数秒後。
比喩などではなく、そのカーテンが外側に弾けた。大小様々な光の粒が辺りに飛び散るが、それらは全て、辺りに落ちる前に空中に時が止まったかのように制止する。これもテューレンスのギアの効果だ。
鈴の音が鳴り響いた。
スキップするように踊りながらその弾けたカーテンに近寄った在利が、瓶を翳して止まる。
笛の曲調が躍動感あふれる物から激しい物となると同時に、光の粒が全て瓶の中へと飛びこんだ。反動で溢れだそうとする光を操り、鞭の様に撓らせながら在利はステップを踏み出す。
激しい曲に合わせ踊り、光のリボンが操られる。その白い光が青に、赤に、緑に輝きやがて代わる代わる虹の色に輝き始めた。
在利の翼がはためき、その身体が宙に舞い上がる。
大きく舞台の周りを飛び始めた在利の、その広げた両腕に乗る瓶から再度光のカーテンが流れ落ちる。今度は向こうの風景が見える程度に薄く。
舞台を飛ぶ在利に引っ張られその虹の幕が回る。列車の、観客席の、来賓席の手を伸ばせば届くすぐ傍を通り、見ている者の視界を数秒の間虹色に染める。
やがて舞台へと舞い戻った在利。水が瓶の中へと仕舞われる。一瞬鳴りやむ笛の音。
数瞬の沈黙の後、テューレンスの笛に添えていた指が動く、大きく吸われた息が吹きだされる。
終わりを告げる力強く高らかな笛の音。
まるでその音に驚いて飛び出したかのように在利の瓶から水でできた竜が飛び出し、二人の周りを飛び回る。
息が続く限りテューレンスの笛の音が続き、腕輪が小刻みに音を鳴らし始め―――そして、竜が瓶の中へと姿を消すと同時に鈴の音。

最後に2人が一礼した時に腕輪と鈴が軽く音をたて。
それっきり、音は聞こえなくなった。
[45] どうだった、かな?

テューレンス・フェルヴァルト(crse5647) 2011-12-03(土) 01:07
無事、演武を、終える事が、できたね。
なかなか、綺麗に、できたと、思うんだけど、どうだろう。
在利さん、お疲れ様。誘ってくれて、ありがとう。
在利さんと、演武を、見てくれた、人たちに、感謝を。
[60] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:36
翡翠の姫・エメルタ
「優雅な演技だったと思います。どこか親しみも感じますし」
評価:★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「目は惹きつけられる。できればより実践的な技も盛り込めればさらに良かった」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「おーっ、と思うところはあるな。俺としてはもうちょっとグオーッての見たかった」
評価:★★★

異端児・アドン
「どうやってるのかわからないけど、なんか凄い!」
評価:★★★

総合評価:13点(20点満点)
[66] お疲れ様、でした。

福増 在利(ctsw7326) 2011-12-04(日) 02:20
テューレンスさん、お疲れ様でした。そしてお誘いに乗ってくれてありがとうございました。
審査員の皆さんも観客の皆さんもありがとうございます。

思いのほか好評価で嬉しいです。
ただ、ザクウさんとオウガンさんのコメントを聞いて「テューレンスさんVS水の竜」とかすればよかったかなぁ……とちょっと思ったりも。
その、僕は非戦闘員なので実践的な技となるとちょっと……。

それではこれにて。
最後にもう一度、見て下さりありがとうございました。(礼

 

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[22] 【Fairy Tale】(Marcello・Kirsch/ハーミット)
マルチェロ・キルシュ(cvxy2123) 2011-11-28(月) 19:42
純白のフリルタイ、葡萄酒色のジャケット、紺のタイトパンツにブーツ。
中世ヨーロッパの貴族のような出で立ちで現れた青年、ロキことMarcello・Kirsch。
いつもはゆるく1本に結んでいるだけの髪も、太めの三つ編みに結ってあり、中性的な雰囲気を漂わせている。
彼の手にあるのは、黒いヴァイオリンケース。

彼のエスコートで舞台に降りたったのは、上着が黒、スカートが水色のビスチェドレスをまとったハーミット。
波立つ金の長髪のウィッグと、飾られた大輪の白バラも相まって、その姿はおとぎ話の姫君のようだ。
その優美な姿とは裏腹に、彼女が持つのは愛用の居合刀【ガーディナル】。

およそ、演舞には似つかわしくない二人だった。
審査員席に、そして観客席へと一礼し、互いに少し距離をとって自身の『武器』を構える。
ロキはヴァイオリンと弓を、ハーミットはガーディナルを。
2体のロボットフォームセクタン、ヘルブリンディとロジャーはロキの足元に置かれた小さなシンバルと太鼓に駆け寄る。

ヴァイオリンから紡ぎだされるメロディは、嘆きとも祈りとも取れる静かなものだった。
フッ…と訪れる僅かな間。 -それは嵐の前の静けさのようで-

ハーミットはその嘆きとも祈りとも取れる旋律に身をゆだね、剣持つ両の手を空にかざす。
まるで救いを請うように。 けれど静寂が打ち破られた時、平穏の祈りは大きくカタチを変える。

そして賛美歌かオペラのクライマックスを思わせる激しくも神々しい旋律が始まる。
しかし曲調が変わっても、音の流れに「悲哀」をはらむのは変わらなかった。

左手に持つ剣が振るうは強大な破壊、荒々しい剣筋は周囲を圧倒し、全てを薙ぎ払うような力強い剣舞。
されど曲の場面が切り替わり、右手に持ち替えた剣が振るうは先の祈りにも似た慈愛、破壊の意志に満ちた力ですら包むかのように穏やかな剣舞。
やがて二つは出会い、激しくも悲しい戦の輪舞。
身を回転させるたびに剣を左手へ、右手へと持ち替えて舞い続ける。
左手がもたらすは破壊、右手がもたらすは慈愛。

ヘルブリンディとロジャーもれっきとしたチームの一員である。
小さなシンバルと太鼓をそれぞれ担当し、さりげなくロキの演奏を支えてくれている。

この曲は、ロキのお気に入りのゲームに収録されたシリーズものの曲の一つ。
強大なる力を持つ宝玉によってもたらされし、繁栄と悲劇を綴る叙事詩…その序曲。


曲を弾きながら、ロキは曲の内容と自分たちとを重ねあわせていた。
世界を救うことも滅ぼすことも出来る力を与えるもの。もたらされし力を用い、争いあう人々。
叙事詩にて描かれたような悲劇的な結末を、自分たちは避けられるのだろうか…。
そんなことを思うのだった。

図書館が抱く正義に対を成す、旅団の持つものは旅団が抱く別の正義なのかと、剣を持つ手を変えるたびにハーミットは思う。
また自らが、そして図書館が持つ“宝玉”トラベルギアは何をもたらすのかも。
そして願い祈る、叙事詩に現れる人々が迎えた悲劇を、自分達が繰り返さぬことを。


曲が終わる頃、ハーミットは曲の始まりのように剣を両の手で持つと、刃の先を地へ向ける。
ただし地に刃を付けることはなかった。
この物語は、まだ悲劇的な結末を迎えてはいないから。

曲を弾き終え、ロキはゆっくりとヴァイオリンを下ろす。
曲の余韻を自らの所作で壊してしまわぬように、そっと。


互いに『武器』を下ろしたのを確認してから、二人はその場で審査員席と観客席へ一礼する。
[44] (一礼の後。)

ハーミット(cryv6888) 2011-12-03(土) 00:58
 ……ふぅ。
 やっぱり本番となると緊張したけど……上手くいったかしら。

 ロキさん、今回は誘ってくれてありがと、結構楽しかったわ。
[59] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:35
翡翠の姫・エメルタ
「流麗で、丹精な美しさがありますね。音楽も心地よいものでした」
評価:★★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「良い演技だ。もうすこし演武としての凄みがあっても良かった」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「こういうのは、あれだ、ズガガッときて、ゴウッと」
評価:★

異端児・アドン
「音楽がきれいで、楽しめる。あのちっちゃい生き物も面白いね」
評価:★★★★

総合評価:13点(20点満点)
[63] (ヴァイオリンをしまってから)
さあ、これから何をしようか。
マルチェロ・キルシュ(cvxy2123) 2011-12-04(日) 01:26
演奏へのお褒めの言葉…ありがとうございます。
…褒めてもらえて良かったな、ヘルブリンディ。
ロジャーも、手伝ってくれてありがとう。
(審査員席へ、再び大きく一礼してから、自分のセクタンを肩に乗せる。)

>ハーミット
今回は本当にありがとう。
練習の時から一層鋭さを増したんじゃないか?本番のは。
ドレス姿もよく似合っているし。
…でも、移動が大変だろう?
お色直しの場まで、エスコートするよ。
(手を差し伸べ)
[64] (刀を納め)

ハーミット(cryv6888) 2011-12-04(日) 01:41
 ……この度は遥々、演武をご覧頂きありがとうございました。
(もう一度、一礼の後に振り返る)

>ロキさん
 練習のときは、衣装を着てなかったからかも。
 こういうのは外見だけでも似せていくと、雰囲気とか気持ちの昂ぶりとかも変わってくるからねっ。
 ロジャーとヘルブリンディくんも、手伝ってくれてありがとね。

 ……じゃ、お言葉に甘えてエスコートしてもらっちゃおうかな。
 でも……いいのかしら、貴方の大切な人に怒られたりしない?
(と言いつつ、差し伸べられた手をそっと取る)
[65] (最終レスです。楽しませて頂きました!)
さあ、これから何をしようか。
マルチェロ・キルシュ(cvxy2123) 2011-12-04(日) 02:07
>ハーミット
(少し切なそうな笑みを浮かべる)
大切な人ができても、女性に優しくするのは癖みたいなものでね…。
俺が言い出したことだ。責任は俺が取る…。

さあ、足元に気をつけて…参りましょう。
(そのまま、歩みを進めていく。)

 

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[35] 【Diclose】(クアールの妖精獣、ウルズとラグズの演武)
クアール・ディクローズ(ctpw8917) 2011-12-02(金) 14:47
 ぽてぽてと、小麦色の色した子犬が会場へと駆け込んできた。
 ご自慢の赤いマフラー靡かせて、意気揚々とした面持ちで審査員席を見据えて。

 とことこと、白銀の色した子猫も後に続けと躍り出る。
 お気に入りの青いマントがを風に揺らし、好奇に満ちた瞳で観客席を眺めて。

 二匹の小さな妖精獣はそれぞれ向いた方へ、ぺこりと頭をさげてご挨拶。
 背中合わせになった獣二匹、互いの尻尾を絡ませて、準備はいいかと確認しあう。

 「わふぅ!」「みぃっ!」

 お互いに一つ鳴きした後、向いた方へを四本足で一斉に走り出す。
 子犬と子猫、二匹の間にある程度の距離が生まれたら、いよいよ演武が始まる。

 赤いマフラーを解いた子犬――ウルズはそれをリボン代わりにして、あっちへこっちへと飛び跳ねる。
 応援団の旗よろしく振り回される布の中から、愛嬌には似合わぬ短剣が3本ほど零れ落ちた。
 マフラーを付け直し、落ちた短剣を拾い集めたウルズはそれを宙へと放り投げる。

 ふわりと、それぞれの剣が異なる高さまで舞い上がれば、やがて重力に任せて地へ降りる。
 落ちる一本をウルズは小さな手で受け取り、それをまた宙へ、もう一本が落ちてくれば、また宙へと投げる。
 その間、ウルズは剣を受け取るためにあっちへきたりこっちへきたり。 どこか忙しないジャグリングが始まった。
 けれど決してヘタなわけではないらしい、剣の落ちる位置を少しずつズラしても、剣は一本も地に落下していない。

 一方、向かいに立つ白銀の子猫――ラグズは青いマントの裏側から一枚のトレーを取り出した。
 更にその小さな手にしっかりと収まっているのは、毛皮の色と同じ色した拳銃が一丁。
 ウルズが短剣をそうしたように、ラグズもトレーを宙へと放り投げる。

 宙に舞うトレー、こちらも高く舞い上がった後に重力に身を任せ地面へ落ちる、そう思われた。
 けれどソレは発砲音、それに次ぐ破裂音とともに中空に留まり、再び落ちようとしてもまた留まる。
 地に居るラグズが天へ向けている拳銃が弾丸を放ち、落ちるトレーを下からどんどんと撃ち上げる。
 中空の的を地に落とさぬように撃ち続けるという、見かけによらず精密な射撃の腕を魅せて、子猫はどこか誇らしげに鳴いた。


 やがて個人技はここまで、とウルズは3本の短剣を全て受け止め、ラグズは射撃を止めてトレーを地に落とす。
 二匹の獣はぺこりと礼をした後、背中合わせになっていたお互いと向かい合うように体の向きを変えた。
 演武を始める前と同じように、準備を確認しあうように再び鳴き合う。 短剣と拳銃、二種の武器がキラリと光った。

 ウルズが投げた一本の短剣は、会場の中央へと向かうようにすいっと放り投げられた。
 放物線を描くような軌道を辿る刃はやがて上昇を止めると、ラグズのいる方へ向けて落ちていく。
 けれど本来辿るとされた軌道からは外された。 発砲音と破裂音、ラグズが短剣を撃って弾き返す。
 銃弾に押し返された刃はまるで壁にぶつかったかのように反射して、ウルズの手元に戻ってきた。

 ウルズが短剣を投げる。 ラグズが弾丸を放って短剣を弾く。
 一定の間隔で繰り返された異色のキャッチボールは、ウルズが投げる短剣の本数を二本、三本へと増やすことで激しさを増す。
 中空では刃と弾丸が文字通りぶつかり合うセッションが行われ、地では子犬と子猫がそれに合わせるかのように舞い踊る。
 やがて二匹は徐々に距離を詰め、刃と弾がぶつかる高度も下がってくる。 同時に響く音の間隔も狭まってきた。

 やがてゼロになった距離と間隔。
 二匹の妖精獣は、手にした短剣と拳銃をお互いの顔の横へと置いた。
 その絵柄はまるで、お互いの背中に迫り来る脅威を己の武器で退けようとする意志の表れ。

 そこへ、わざとらしく響く第三者の足音。
 ウルズから見て右へ飛ぶのは一本の短剣、鋭利な刃は黄色っぽくて分厚い表皮へと突き刺さる。
 ラグズから見て左へ飛ぶのは一発の弾丸、小さな鉄の塊は短剣の柄を弾いて、刃を更に押し込ませた。

 現れた第三者は体こそは人の形をしているが、頭部はまるでジャック・オ・ランタンのようなカボチャ頭だった。
 目と口を表すかのような穴を開けられた南瓜の眉間に当たるだろう位置には、ウルズが投げ、ラグズが銃で弾いて押し込んだ短剣が突き刺さっている。
 やがて南瓜全体に刃の亀裂が生まれ――、ガラズがバリンと割れるかのように砕けた。
 跡形もなく散る南瓜の中から現れたのは、子犬と子猫、それぞれの主である作家の顔。
 二匹とお揃いのローブを着込んだ召喚士は、懐に仕舞っていた眼鏡を掛けて、二人の我が子に向けて小さく微笑む。

 とたとたと、子犬と子猫が作家へ向けて勢い良く走りだす。
 ウルズは尻尾が千切れんばかりにぱたぱたと振り、ラグズは尻尾どころかヒゲもピンと立てて。
 そして作家は右足にもふっとしがみ付く子犬、左肩に颯爽と飛び乗った子猫の代わりに審査員席へと視線を向けて。

 これにて演武は終了です、と、いつもの無表情のままで深々と頭を下げた。
[36] わふぅ!

クアール・ディクローズ(ctpw8917) 2011-12-02(金) 14:50
 わふっ、わふーっ!
(じょうずにできたーっ!)
[37] みーっ♪

クアール・ディクローズ(ctpw8917) 2011-12-02(金) 14:51
 みーっ、みゃーっ♪
(うまくできたのにゃーっ♪)
[54] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:32
翡翠の姫・エメルタ
「まァ、可愛いですね。ね、ザクウ」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「(*´Д`)」
評価:★★★★★

首狩り大将・オウガン
「へー、あの獣たち、アドンよりすげぇんじゃねぇか?」
評価:★★

異端児・アドン
「……orz」
評価:★

総合評価:11点(20点満点)

[62] (一礼の後、首を傾げ)

クアール・ディクローズ(ctpw8917) 2011-12-04(日) 01:03
 …………?
(一方の評価は得たようですが、もう一方は評価どころか心をへし折ってしまった感じが……。)

(とりあえずもう一度礼をしてから、二匹の妖精獣を連れて退場。)

 

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[43] 【3st.晴天Popstyle】 (ファーヴニール)
「おっしゃー! みんな飲みいくぞー!!」
ファーヴニール(ctpu9437) 2011-12-02(金) 23:27
 プラットフォームの一角から、鮮やかな赤と白のドレスを纏い、髪を結い上げた姿が見える。
 靴音を鳴らし、パチパチと何かが弾ける音を鳴らし、ふわりとスカートを揺らして、音が止まる。
 代わりにどかんと置かれたラジカセからメロディーが溢れ出す。

『ショーゥ! タァーイム!』

 艶やかな女性の声。掲げた紫の銃身から撃ち放たれた弾丸は電撃で弾け、空を埋め尽くさんばかりの紙吹雪と変わる。
 同時に流れるポップな明るいリズムに合わせ、銃剣エンヴィアイをくるくると回して歩き出す。
 軽やかに跳ねるピアノ。鳴り響くクラリネット。

 つま先をピンと立ててかかとを鳴らし、立ち上げた髪は子犬の尻尾のように揺れる。
 リズムと共に振り回される銃剣は、小雨の中子供が振り回すように、しかし確実に目の前の敵を撃つように踊る。

「はっ!」
 腰を深く落とし、広げた両足で身を支え、真正面へ刃を突く。
 切先はそのまま大気を抜け、モフトピアの大空を写しこみながら小刻みに剣撃を成す。
 踊るステップに笑顔をのせて翻したスカートをそのままに、大上段から真一文字に振り下ろす。
「はぁっ! ……っととと!」
 決めた気合の声。そこに並んだ慌ての色。
 切先は足元へ刺さり、そのまま手を離してしまった。
 バランスを崩して二、三歩よろめき、彼女の眼前には足場の代わりに広がる青空。
 メロディーが止まる。
「ほあっ!?」



「……なんてねっ!」
 声が男性のものへと変わる。
 逆さま宙吊り。スカートを両手で押さえながら、そこから伸びた銀色の尻尾が彼女を支えている。

 メロディーが、激しいギターとシャウトへ変わる!
 思いっきり反動をつけて飛び上がり、赤白のドレスは中空へ舞う。
 その下から出てきたのはジャケット姿の青年。目元のメイクを拭うと、その顔はいつぞやの画廊に飾られたそのままの笑顔。
 大きくシンバルが叩かれる。

「さぁて、皆様行きますよっ! 瞬き禁止の鮮烈連舞だぁっ!」

 右腕を突き出し、竜の腕へ変換。大きく振りかぶって体を捻る。
 捩じ上げられ真上へ伸びた腕はそのものが別の生き物であるかのように爪を開き、カチカチと火花を散らす。
「次!」
 背中側に伸びた左腕も竜腕へと変化。同時に元の腕へ戻る右腕。
 繰り返される移動、転身、攻撃行動の中で、両手両足が次々と切り替わる。
 入れ替わり立ち替わり、蹴りを出したと思えばその足は竜。爪を振り下ろすかと思えば拳。
 ドラムが打ち鳴り、段々と激しくなる。
 真正面へ突き出された両腕は双方ともに竜腕。爪同士を握りあわせ身を回転。審査員へ背を向け、両腕を思い切り広げ大の字の体制。
 バチィンッ!
 火花が散ったと同時に、背中と腰元へ描かれる翼と尾。

「ラストステージは、お空の上でキメますか!」

 ラジカセから流れるボリュームが高まり、綺麗な女性の声が流れる。
 突き刺さった銃剣エンヴィアイを引き抜き、足場から飛び出す。
 真っ逆さまへ落ちる。瞬間、激しく光を反射し風を受け止める銀色の翼。
 急上昇は真っ直ぐに、線路の隙間を縫って空の彼方。
 尻尾を時折線路に絡め、縦横無尽のその中を飛び交いながら剣を振る。
 雲へ花火が起きる弾丸を撃ち込み、その度ぽんっ! と音を立たせる。
 散らばる雲の間を円を描くように抜け、審査員たちの遥か上空で指をパチンと鳴らす。
 瞬間、紫の電撃が雲を覆うように大きく薄く、しかし鮮やかな輝きを広げて踊り狂う。

 ラジカセのメロディーはクライマックス。

 にっ、と笑顔を見せる。
 巨大な電撃の幕へ急速突撃。一瞬雷の弾ける音を響かせ、紫電を纏ったエンヴィアイを竜腕で握り振り下ろす!
「せぁあッ!」
 轟雷の一閃が大空を分かち、その剣を真横へケレン味たっぷりに構えて決めポーズ。
 メロディーが止まる。


「えー、13番、ファーヴニール。これにてカーテンコール! ありがとうございました!」
 最後はきちんとお辞儀をした。
[58] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:35
翡翠の姫・エメルタ
「呪術師の男が女の格好をすることはありますが、演武に取り入れるとは面白いですね」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「荒っぽい動きだが腕は確かと見た」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「男…………だと? 騙したな!!」
評価:★

異端児・アドン
「見ていて楽しめる演技だと思ったな。かっこいいし」
評価:★★★★

総合評価:11点(20点満点)

 

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[27] 【ディラック飛行隊】わくわく航空ショー

ガルバリュート・ブロンデリング・フォン・ウォーロード(cpzt8399) 2011-11-30(水) 21:50
(ガルバリュート/ガン・ミー/アマリリス・リーゼンブルグ/シーアルシー・ゼロ/ジャック・ハート/清闇/イフリート・ムラサメ)

■爆音が響く。

音の方へ目を向けると、来た!色とりどりの尾を引く未確認飛行物体が!
ガルバリュートがカラースモークを携え、空を飛んでいるのだ。

「HAHAHA、拙者がヴォロスの空に絵を描いて進ぜよう!」

軽快に飛ぶガルバリュートがクローバーリーフを行う。
すると一枚、また一枚と空に色違いの葉が描かれていく。そして四葉のクローバーが完成した!

さらにギューンと急降下し、線路に衝突!?
と、ギリギリのところで急上昇する。そして渦を描くように旋回しながらスモークで球をつくる。
そしてその球に突っ込み、反対側から出てくる。それを繰り返すうちにさらにひと周り大きい球が形作られた。

「HAHAHA、お望みとあらば先の大戦の戦艦を描き、それを散らしてご覧に入れようぞ!」

■みかんが飛んでくる。
みかんが色つきの飛行機雲を引く様はシュールだが、遠目なので問題はないだろう。

「何か描くのか?じゃあ猫なのだー!」

みかんはどこから曲がっているのか、実に滑らかな動きで空を飛ぶ。その速度はガルバリュートにも勝るとも劣らない。
そして、猫の輪郭らしきものを描いて見せた。

「完成なのだー!」

喜びと共にみかんが剥けた! いや、丸まっていた体を伸ばし、本来の姿を見せる。それは橙色をした竜だった。竜は観客のドラグレット族にむけアピールするように曲芸飛行をするのだった。

■大きな翼を羽ためかせ、アマリリスは楽しげな笑みを浮かべる。
「ふふ、実に楽しげな演舞ではないか」

飛びながら剣を振るとリン、と澄んだ鈴の音が聞こえる。その度に徐々に飛行速度が増し、舞台の端の端へ。
「私が描くはロストレイルだ。」
 
最高速度から一気に舞台の端と端の往復を開始する。
横線の重なりが空にロストレイルを描いていく。

片翼を立てターンしながら「おお…」と歓声があがるのを確認し、「最後の仕上げだ」と、ギアの一閃!
ロストレイルの前方に不自然に伸びた雲を切り裂く。

雲は散り、見事に煙突から吐き出される蒸気となった。

■それぞれが散開しガンとアマリリスが垂直線上に並ぶ。
一方は上へ、他方は下へ孤を描くように移動する。やや孤が小さい気がするが…

「あ、ハートだ!」
声があがった。
皆が反応する間もなくガルバリュートがそこへ突進する。
ハートに突入する瞬間、ガルバリュートが雲を引く。通り過ぎた後には見事に「射止められたハート」が完成していた。

■「いくのですー」
どよんどよん、と脈動するように向かってくる何か。それこそが巨大化と縮小を繰り返すシーアルシー・ゼロだ。

重心を無視し起点を変え前進する物理学への果敢な挑戦。本人はそんなことは気にも留めない様子でスモークを引いていく。
丸。上に2本の楕円。器用に巨大化の起点を変え、方向を変える時は足先から収縮する。意外と頭脳派のようだ。
出来上がった像はウサギだ。

「北極海に消えたブランさんの遺志は、無駄にはしないのです」

すべてをやり終えたゼロは空中でまどろみ始めた。

■「ヒャッハー!どうせ描くなら三次元のネェチャンだろォ!?」
ESPでブッ飛ぶジャックは色とりどりのスモークを抱えている。

「Hei!Hei!Hei!」
螺旋を描くように各パーツを立体的に形作り、煙が散らぬよう力場を固定する。
「最高の女は手間も掛かるなァ、アン?」

出来上がったロングヘアーの女性像に地上から歓声が上がる、が…
「やっぱり俺は普通のサイズの女が好みだなァ?リアルならすぐにどっかに消えちまったりしねェだろうしよォ?」

■獣の羽を生やした人型が飛来する。清闇だ。
「俺には絵心は無いんだ、が…、ひとつやってみるかね」

光球を放ち、宙に留め置く。そしてその周囲に白いスモークを拡散させ噴射する。
と、球の光が煙に映り、さながら光る雲の塊が浮かび上がる。

「よし、よし」
同じ要領で光る玉を
いくつか作りあげる。一番大きいのは白。何周りも小さい玉が2つ寄り添うように。その一つは青と緑に交互に点滅している。
それは、見るものが見れば太陽と月、そして母なる大地と分かるだろう。
「神に創られた身が神を真似るとは…おこがましいねえ」

しかし反応が上々と分かると悪い気はしない。竜の姿になり最大加速!ソニックブームをならしながら高空を飛び回り、再びドラグレット族に驚きを与えた。

竜が世界を作ったことを一体何人が理解したのだろうか?

■「スーパー出遅れてしまった!ここは一気に盛り返し、点数をウルトラ稼がねばならぬな!」

壱番世界レースでのメンテナンスもとりあえずに現れたのはイフリート・ムラサメ。

手を広げ、きりもみ回転。両手部分から煙が吹きだし、赤と青が絡み合い延びていく。
「ぬおおお!?スーパー目が回る!体内ジャイロが狂った!?」
上昇に上昇を重ね、雲まで達したというところで突如、急速に落下。

墜落直前で立て直し、 地面沿いに飛び事なきを得る。「は、ハイパーミラクルな奇跡である…」
上空に戻り、小型フレアを発射!流れるような一列の熱球はナイアガラの滝を空に描く。
「そ、そろそろ活動限界熱量に達する…まあそれも良い。例え拙者が空中分解しようとも、皆の心に拙者の勇姿が刻まれている限り、拙者は死なぬ!武士道は、死ぬことと見つけたり!」

■その後もガルバリュートとムラサメの超近距離すれ違い飛行や虹の7色によるライン飛行、巨大生物に見立てた雲を全員で追い立てる戦闘演習などが繰り広げられた。

=====

募集終わりました。 ご参加いただいている皆さん、ありがとうございました。
[29] うんとね

シーアールシー ゼロ(czzf6499) 2011-11-30(水) 22:51
皆すごいのですー。
素晴らしい曲芸飛行は他の方にお任せしてゼロはイロモノ枠を埋めるのです(笑)

>ジャックさん
そういえば、ハロウィンのジャックさんは強敵だったのです。
主催者さんの罠より難所だったのですー。
ゼロは聞いたことがあるのです。
壱番世界では強敵と書いて友と読む伝統があるそうなのです。
[30] どうせ描くなら立体的に
ヒャッハー!!俺サマ1バ~ン、じゃねぇけど(爆)
ジャック・ハート(cbzs7269) 2011-11-30(水) 23:40
ギャハハハハ。変態飛行やるンだってかァ?
やるならカラーでボンキュッボンなネェチャンを立体的に描くに決まってンだろぉ?
グルグル円描いてりゃ立体なんてすぐだゼ、すぐ、ギャハハハハ。←竜巻系のESPを併用

(真面目な顔で)ネエチャン描いた後なら、いっくらでもアンタの描きたいモノにつきあってやるゼ、機動騎士さんヨ、ゲハハハハ。
[39]

ガルバリュート・ブロンデリング・フォン・ウォーロード(cpzt8399) 2011-12-02(金) 23:02
以上で演舞は終了である。
参加いただいた皆々様方にはこの場を借りて厚く御礼申し上げる。

では以後は御歓談いただきたい…!
[56] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:34
翡翠の姫・エメルタ
「これは……。驚きました。このようなものを見たのは初めてです」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「飛竜よりも速いな。しかし、見上げてばかりいると首が痛くなる……」
評価:★★

首狩り大将・オウガン
「おー、なんか派手ですげーじゃねーか!」
評価:★★★★★

異端児・アドン
「とにかく楽しそうだな」
評価:★★★★★

総合評価:15点(20点満点)

 

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[38] Ice sculptures (幸せの魔女の演武)
幸せの魔女(cyxm2318) 2011-12-02(金) 22:45
「私の名前は幸せの魔女。」

空中に敷かれた線路の上に堂々と出で立ち、名を高らかに宣言する。
いつもと変わらぬ白いドレスに、そのドレスの左腰にはドレスには不釣合いな…朱鞘に収められた小振りな剣が二振り。

「御機嫌よう、あまり幸せそうでは無い方々。」

そして審査員席に向かって笑顔で一礼。
余計な一言が後からついていっているが、本人は全く気にしない。
事実なのだから。
常に幸せに溢れている私から見れば、私以外のモノは不幸な存在でしかない。
その溢れんばかりの笑顔はそう自己主張していた。

「今の私はとても幸せなの。」

それは当然だ。私は幸せの魔女なのだから。

「…だから、その幸せを邪魔する奴は容赦なく始末するわ。」

それは必然だ。私は幸せの魔女なのだから。

目の前には、布に覆われた長方形の箱のようなものがひとつ。
縦長で、大の人間がすっぽり納まってしまう位の大きさがある。まるで立て掛けられた棺桶のようだ。

幸せの魔女は躊躇する事なく、被せられた布に手を掛けてそれを取り払う。
中から姿を現したのは巨大な氷の塊だった。
一体何処から持ってきたんだと言わんばかりの巨大な氷の塊が、日の光に当てられて表面が宝石のように輝いている。

今度は腰鞘に収められていた1本の剣を右手で引き抜き、軽く一振り。
残ったもう1本の剣を左手で引き抜き、軽く一払い。
その剣の刀身は真っ赤に燃えていた。
刀鍛冶が刀身を鍛える為に、鉄は熱い内に打ち付けるように、その刀身は今まさに"それ"の状態とも言うべきものだった。
『灼熱の剣』、高温の刃で敵を焼き斬る魔法の剣。
滅多に御目にかかれない宝剣だが、幸せを容易に見つけられる私にしてみればそれをたった二振り用意する事など造作もない事だ。

その高熱の刃を、そっと氷の塊に押し当てる。
ジュウゥーという水が蒸発する音とともに湧き上がる湯気。それは刃がいかに高熱を帯びているかを表していた。
刃を押し当てた箇所が綺麗さっぱりに削れているのを確認すると、幸せの魔女はフフッと軽く含み笑う。

「See well. Silly people. You can't understand my beauty!!」

声高らかに宣言し、2本の灼熱の剣を華麗に振り回して氷の塊と対峙する。
刃が空を切る度、あまりの高熱に空間が歪む。自慢の長い金髪は波打ち、お気に入りの白いドレスのスカートは風に揺蕩(たゆた)う。
カキン、カキンと、振り下ろす過程でぶつかり合った刃同士が激しい火花を散らした。

空を斬る事に飽きた刃が、今度は氷の塊へと振り下ろされる。
氷はいとも簡単に削られ、削がれ、幾重にも及ぶ輝く破片が空を舞う。
一振り、もう一振り、又一振り…。2刀からなる連撃は留まる事を知らず、ジルバを踊る恋人同士の如く忙しなく舞い続ける。
吹雪のように散り、飛び続ける破片の中で、幸せの魔女は笑う。きっと私のダンスの相手は舞い散る吹雪だ。
ならばどうやって丁重にお断りしようかしら。冷たい相手と冷めたダンスに興じる趣味はなくってよ。
…吹き荒ぶ氷の破片の数々は幸せの魔女に触れる事は無い。そのどれもが彼女を避け、遠巻きに逃げてゆく。
私はこの純白のドレスのように、決して穢れる事はない。何故なら、私は幸せの魔女だから。そして、その私が求めている幸せは…。

削られてゆく氷の塊が徐々に人の形に整形されていく。
あれは長い髪の毛だろうか、あれはドレスだろうか、…気が付けば、それがひとりの女性の形をしているのだと容易に想像出来た。

「How are you?」

吐き捨てるように呟き、今度はワルツのように緩やかに、小刻みに刃を突き続ける。
情熱を出し尽くし怠慢となった刃が、荒々しい氷の表面を優しく撫で、弄び、氷の人物は形成されつつあった。
あれは腕だ、あれは足だ、あれは胸だ、あれは模様だ、あれは瞳だ、あれは唇だ、…おぼろげな印象は、時間と共に鮮明なイメージへと変わる。

「I'm still happy. Witch of Unlucky.」

不幸の魔女…、そう名を冠されたその氷の彫像の完成に満足するように、2本の灼熱の剣を鞘に収める。
その氷の彫像の人物は、幸せの魔女によく似ていた。けれども、それは似て非なるもの。幸せの名を冠する資格は無い。
『不幸の魔女』。
せいぜい、お前には不幸がお似合いだ。何故ならそれがお前の名前だからだ。

「愛してる。」

そっと囁き、唇を奪う。

氷のように冷たい微笑を浮かべ、幸せの魔女は瞬く間に完成された氷の彫像と見つめ合う。
その瞳は最愛の人を哀れむ悲しみを、宿敵を忘れぬ憎悪を、後悔を、満足を、…いずれの感情を宿しているのか、それはきっと誰にもわからない。
しかし、それも束の間。クスクスと小さく笑い、幸せの魔女の顔は元の通りの幸せな微笑みを浮かべる。
まるで楽しい玩具を与えられて好奇心を抑えられない子供のように、氷の彫像を視線で愛でる。

そして…。

キィンッ!と一閃。
何処からとも無く現れた"幸せの剣"を横薙ぎに居合い、氷の彫像の首を刎ね飛ばした。
[55] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:33
翡翠の姫・エメルタ
「氷を削って彫像にしてしまうなんて。驚くべき技です」
評価:★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「美しいが、戦いには向かなさそうなあの衣裳で、よくあれほどの動きを……」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「上品でしゅっとした姉ちゃんが多いよな」
評価:★★★

異端児・アドン
「見ていてちょっと寒くなる気がするな。氷だからっていうだけじゃなくて」
評価:★★

総合評価:12点(20点満点)

 

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[32] 虎京劇(リエ・フーの演武)
「行くぜ楊貴妃」
リエ・フー(cfrd1035) 2011-12-01(木) 10:08
眼下には遥か彼方まで連なる緑翠の稜線、大自然が覇を唱える雄大な眺望。

虚空に設けられたのはロストレイルの超重力で生み出された不安定な足場。さながら空中楼閣と化したその線路の中央に、年端もいかぬ少年が落ち着き払って歩み出る。

癖の強い黒髪、未だ熟しきらぬ華奢な体躯。
あどけない容貌には不釣り合いに老成した光を宿す黄金の眼光が、彼が閲した歳月が見た目相応ではないと暗喩する。

どこか危うい色香と精悍さとが不思議と溶け合った少年だった。

少年の名はリエ・フー。
昭和初頭上海出身のコンダクターである。

今、線路上に降り立った少年は、いつもの簡素な人民服ではなく漆黒の長衫を羽織っている。
中国では晴れ着や礼服とされ、正式な場や祝賀の催しに着ていく衣装だ。

少年のそばには供であり友である、フォックスフォームセクタンが付き従う。

「-行くぜ、楊貴妃」

傾城の美姫の誉れ名を冠したセクタンを呼ぶ。
満を持し、演武の幕開けだ。

それは唐突だった。
リエの姿が観衆の眼前から消失する。
しかしそれは目の錯覚、動きの素早さに動体視力が追いつかなかったが故の錯視。
鍛え抜かれた瞬発力と反射神経をいかんなく発揮し、地面すれすれまで屈んだリエが、長衫の裾を剃刀の如く翻し伸び上がる。

京劇の基礎にのっとった舞踊を、柔軟かつ大胆な発想でもって発展させた演武。

放埓に奔放に舞踏のような武闘を演じ、武闘のような舞踏で魅せる。

楊貴妃が吐いた火の玉が輪を描いて乱舞、虚空で無数に分裂、躍動感あふれるリエの振り付けを引き立てる。

黒い長衫に火の玉の朱が鮮烈に照り映える。

瞑目、気息を正す。

鳩尾に溜めた息を鋭く吐き、呼気に乗せて上段から蹴りを放ち、体勢が崩れる前に迅速に引き枕木に突いた手を軸に反転、側転、バク転の連続技。

『國破山河在』
国破れて山河在り

烈風を従え舞いながら口ずさむのは耳馴染んだ漢詩の一節。

見事な連続技に繋げたのち飛燕の如く後方跳躍、拳法を模した動作で掌底を撃ち出す。

詠唱は続く。

『城春草木深 感時花濺涙 恨別鳥驚心』

詠唱が響くごとに精神が澄んで研ぎ澄まされ、空気も浄められたような心地になる。

『烽火連三月 家書抵萬金 白頭掻更短 渾欲不勝簪』

体重の乗った中段蹴りから猫の如く身を捻り、回転の加速を殺さず

跳躍。

四肢が撓う。黒髪が舞う。
脈動する。拍動する。躍動する。

演武は最高潮に達する。
平生皮肉っぽい黄金の瞳がこの時ばかりは真剣な色味を帯び、鼓動と共に巡る覇気が身の内を熱く火照らせる。

その演武はまさしく彼の本名に由来する通りの激しさ、猛々しさでー……


『ー汝、虎の如く鋭くあれー』


長衫の裾と袖が風を孕んで激しくはためき捲れ、やがて静かに舞い降りる。

演武が、終わる。

「リエ・フー改め楊 虎鋭(ヤン・フールイ)の演武、これにて終劇だ」
[53] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:32
翡翠の姫・エメルタ
「気迫を感じますね。あの異国の装束も目を引きます」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「荒削りなところもある気がするが、動きにはキレがある」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「なかなか威勢がよくていいんじゃないか?」
評価:★★★★

異端児・アドン
「まだ若いみたいだけど、すごいな……」
評価:★★★★

総合評価:14点(20点満点)

 

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[31] 【夢幻能・焔神楽】(灰燕・湊晨侘助・呉藍)
灰燕(crzf2141) 2011-12-01(木) 02:34
 縦横無尽に敷き詰められた列車の轍。影一つない無人の舞台。目に眩いほど鮮やかな天の青。演武待ち詫びる観衆の目。
 それら全てを焼き尽くす様に、白い焔が立ち昇る。
 翼を広げた鳥の様に膨張し、跳ね上がる様に躍り、白銀の火の粉を振り乱して。ひとしきり燃え上がった後、それは唐突に収束した。なにものかに吸い込まれる様に、或いは咲き広がった花が急速に蕾へと戻ってゆくかの様に、ただ一点に集い、収まる。
 焔が潰えて、そこには一人、男が佇んでいる。
 煤の一つも纏わず、凛然と。
 くるくると番傘が舞う。焔が消えて尚降り止まない白銀から、彼を護る様に翼を広げるその色も、白銀。傘の黒に押し込められた優美な鳳凰が、男の頭上で廻った。
 右手に鬼の面を持ち、左手で番傘を戯れに回す。洒脱に歩く白髪の男を、不意に横薙ぎの熱が襲った。
 白銀の焔を振り払って、紅蓮の炎が駆け抜ける。
 曖昧な色彩を塗り潰して鮮やかに。見る者の目を焼く、烈しさを持った熱が舞台を飲み込んだ。
 傘を己の前に翳して盾とし、いとも容易く炎から身を守った男は、瞳を細めた。愉悦に滲んだ笑みを浮かべて、擦り足で一歩、舞台の中央へと踊り出る。
 紅蓮の炎が収束して、そこにはやはり、ひとつの影が佇んでいた。
 背の低く、四つに這った姿。太く逞しい尾は狼に似ているが、しなやかな身体つきとぴんと立った耳は、どちらかと言えば虎によく似ている。舞台の四面を覆う天空にも劣らない、鮮やかな蒼い毛並みに身を包んだその獣は、紅蓮の炎を身体に纏わせ、金の眼差しを男に注ぐ。
 凛と通った鼻面を上げ、獣が高く咆哮する。狼のソレとも、虎のソレとも違う、奇妙な吼え声で。衆目の鼓膜へ訴えかける。
 白い雨は降り続く。音を立てずに、深々と。雨ではなく雪の様にも見える美しさで、男の傘と獣の背を叩き続ける。触れた端から燃え上がるそれは、熱を持たなかった。
 傘の下の男が、右手に提げていた面を、おもむろに顔に宛がう。額から二つの角をのぞかせる、苦悩に満ちた目と憤怒に充ちた口許の鬼面。般若と呼ばれるそれを。
 紐で括りつけられたわけでもないのに、手を離しても、何故かそれは落ちなかった。男の顔を覆い隠して、不気味に笑み惑い、無様に悔やみ憤る。
 最早舞台に立つのは男ではない。
 白く変容した髪を持った鬼。一匹の般若だ。
 焔の雨が降る。しかし男は、般若は、黒い番傘を畳み、己の背後へ差し伸べた。白焔が立ち昇って、男の差し出した番傘を恭しく受け取ると、静かに消える。空いた右の手を左に差した打刀の柄に遣る。朱塗りの鞘を押さえて、ゆったりとした所作で刃を抜き放つ。焔の雨が落ちて、その刀身を飾る様に燃え上がった。
 そして、一呼吸。地面を蹴った。
 始めの所作は静かに、しかしそれに続く動きは俊敏に。焔に降られながら、一直線に駆け抜ける。獣との距離を一気に詰めて、斜めに切り上げる。
 確かに間合いは詰めたはずだが、手応えはなかった。
 咄嗟に振り仰げば、蒼い獣の身体が宙に舞う。鬼の刀身の先を蹴って、空中へと踊り出る。蒼いその身が三日月の様にしなる。と、四ツ足の先に紅蓮の炎が咲いた。実態のないはずのソレを、まるで木々の枝葉の様に軽々と踏みつけて、獣は更に高く跳躍する。白い焔の雨を踏んで、留まる紅の炎を踏んで、天へ天へと登ってゆく。
 ひと際高くへ登り詰めて、虎でも狼でもある獣は、満足げに目を細めるとくるりと廻る。その場で身を捻って、尻尾を生き物の様に揮うと、一直線に地面へと落ちて行った。
 とん。
 いっそ軽くも聞こえる音を立てて、しなやかな猫の様に着地する。その姿は最早獣では、なかった。
 眩いほどに鮮やかな蒼い具足に身を包んだ青年。武人と呼んでいいほどに精悍な佇まいだが、どこか少年らしさを残した面持ちはまさに若武者と呼ぶにふさわしい。肩から羽織る蒼い小袖が風と遊ぶ。
 跳躍ひとつで姿を変えた獣は、ひらり纏う袖を振る。鬼を誂う様に。誘われて振り降ろされる刃を紙一重でかわし、ひらりひらりと舞いながら、舞台の隅へと追いつめられてゆく。焔の雨をすり抜けてゆく。
 若武者の追いつめられる、その先に一人、青年が立っている。
 いつからいたのか、それは誰にもわからない。紅椿の袖を羽織り、黒髪を刀が切った風に遊ばせる、見る者の目を惹きつける美しさを持ちながら、まるで黒子に徹しているかの様に青年は佇む。
 蒼の若武者が背中越しに差し伸べた手を、微笑んで受け取った。ふっとその姿が掻き消える。
 青年を焼き尽くすかの様に炎立ち、若武者の手に残るは刀一振り。漆黒の鞘に、漆黒の柄。飾り紐の紅だけが妖艶に風に遊ぶ、優美な拵えの日本刀。
 よく目を凝らせば、その鞘にはうっすらと、見事な椿の紋様が彫り込まれているのがわかる。刀身と柄とを繋ぐ目釘もまた、一輪椿だ。
 凛と咲く椿の美しさを備えた刀が、蒼く精悍な若武者の手の中に収まる。鬼に対抗する為の武器を手に、若武者は不敵に笑った。
 一閃。周囲の空気さえ切り払う様な重厚な一振りを跳躍ひとつで避けて、若武者は鬼の背後へと回る。刀の鞘を払えば、目にも眩しく美しい刃が閃いた。力のままに振り抜く。振り返る鬼の、肩から羽織る豪奢な袖を二つに切り裂いた。
 鬼が豪快に刀を振るえば、若武者はその太刀筋の上を駆けて飛ぶ。降り止まない炎の雨を踏み、火の粉を纏って更に高みへと、段を登る様に軽やかに跳んでいく。それはさきほどの獣と全く同じ動作であり、全く違う華やかさがあった。
 若武者が上空から刀を振り下ろす。それを見越していた様に般若は身を捻り、落ちてくる身体へと刀の刃を滑らせる。ひらりと焔を足場にしてそれをかわし、若武者は般若から小さく距離を取って着地する。
 そして、再び刀を構えた。白焔の雨が燃え上がってその刀身を飾り立てる。
 般若の面がカタリと音立てて歪む。
 若武者のその手で躍る刃に、ひととき視線奪われた。
 錆び毀れ、或いは歪みひとつない磨き込まれた刃。鏡の様に光跳ね返す。刀身に彫り込まれた天昇る龍。切っ先を外側の『目』へと突き付ける。その刃の奥に覗く透かし彫りの鍔木(つばき)。蒼く長い髪を振り乱し、跳ね躍る若武者と共に、艶やかな黒の柄から伸びる紐の紅が舞う。天空の青に鮮やかに映える。
 神刀の威光に衆目よりも強く心奪われて、般若の太刀筋が揺らぐ。顎を引き、俯けば、怒りを貼り付けた口元は隠れ、苦悩と悲哀を表現する目元だけが見える。二つの表情を内包した般若、その惑いだけが残る。
 その隙を逃さず、蒼い若武者が般若の懐へと踏み込んだ。振り翳した刀身の龍が、煌めいて咆哮する。
 そのまま一閃、振り降ろす。
 鬼の惑いを切って捨てる。

 焔の雨が、止む。
 ふたりの役者も、二振りの刀も、身じろぎひとつしない。雨が収まって、訪れた静寂が舞台を覆い尽くす。
 カタリと、小さな音が天空の舞台に響いた。
 鬼面が、欠片一つ残さず綺麗にふたつに割れる。若武者と般若の間に落ちる。それが合図だった。
 止んだはずの雨が、遡る。落ちた火の粉の白銀が膨れ上がる。紅蓮の火が空中に咲く。紅蓮と白銀の混じり合った火焔に代わり、たちまち燃え上がって舞台を覆い尽くした。天を衝く火柱の様に爆ぜ、立ち昇る。それははじめの白銀とも、紅蓮とも違い、なかなか収束を見せなかった。
 火焔はちりちりと天を焼く。身悶える様にうねり、揺らいで、やがて満足げに高くその腕を広げた。鳥が翼を広げた姿によく似た形。一度高く咆哮を残して、尾を引く様に、余韻残す様に、火焔は静かに収束する。白銀の火の粉と紅蓮の残影をおいて、消えた。
 残されたのは、縦横無尽に轍の走る能舞台。
 そこには最早、影一つなかった。
[52] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:31
翡翠の姫・エメルタ
「これは異国の物語なのでしょうか。ひとつひとつに深い意味が込められているように感じます」
評価:★★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「あの動きは一朝一夕にはできないものだろう。見事だ」
評価:★★★★

首狩り大将・オウガン
「なんだ?消えたぞ!落ちたんじゃないよな?」
評価:★★★

異端児・アドン
「うーん、オレにはちょっと難しかったかも……」
評価:★★

総合評価:14点(20点満点)

 

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[24] 【Zwei Magier】(ディラドゥア・フブキ)
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-11-30(水) 06:31
(蒼空は時として綿菓子の如き無垢を生み出し、美しい生命の輝きを見せる。
 鳥のさえずりが耳に優しく語りかければ、独特の澄んだ風が肌を撫ぜる。
 そして、視界を下に移せば霊峰は雪を被り、裾野にはまた深い緑の森が映える。
 竜種の者ならば、その世界に引き込まれない者も少ないのだろう。
 ――その世界の名は、竜世界ヴォロス。

 その蒼空に抱かれるが如き白亜の演舞台は、様々な美を生み出す揺り篭。
 揺り篭に抱かれた武人たちの様々な種は様々な舞台を演じていく。
 その中の一幕。そこに立つ二人の奇術師の存在は奇異の目を引くのだろう。
 片側に目を運べば緑鱗に燻したが如き銀の入った鱗を持つ戦場の奇術師が。
 そしてもう片側に目を運べば、穢れ無き無垢を纏う鰐獣人がそこに立つ。
 緑銀鱗の戦場の奇術師と、それに対比するかのごとき癒し手の白無垢。
 それは、攻守という意味においては幸運なる出会いであると共に、
 敵からすればまるで悪夢の如き取り合わせなのだろう。
 その並び立つ2つの戦人の視線は、音の波ならぬ2つの魔の波形として共鳴する。

 白き魔力の波が2つ、双方互角とも言うべき異質なそれを抱き、立つ。
 強大なる魔の波形を双方浴びながら、ハウリングを楽しむかのように。
 両者の立ち居振る舞いには貴種のそれを感じさせるものがあるが、
 一方ではまた、戦場に立つ者としての鱗片も隠すことはない。
 その主人達は視線をしかと双方で切り結びながらも、表情は笑んだままで。
 魔力の高まりを確認した緑銀鱗の戦場の奇術師は、切り出した。)

「魔術決闘の作法は事前に伝えたとおりだ。
 あくまで演武で有ることは兼ね承知の上で、限界まで実戦に近づけよう。
 それでは、問おうか。 ――Are You Ready?」

「Okay.では、開演といこうか。
 偽りの戦場で舞おう。その時君は、美しい」

(返答が交わされ、それを引き金にするように魔術決闘の儀礼が行われれば、
 体はすでに戦場に立つ者の気品を感じさせているのだ。
 礼が終われば、永遠の白を纏う癒し手は右手の篭手に透き通る氷の刃を顕現させ、
 緑銀の奇術師はその手に幾つもの歴史が刻まれたであろう古い剣を召喚する。
 プロセスのさなかにも相互の口に動きはなく、また瞳の中に優しさを滲ませることもない。
 ただ、語られずともそこにあるのは、英雄が綴る叙事詩(サーガ)。
 双方の準備整う時、仮初なる戦場の幕もまた花開く。

 袈裟懸けに掛けられた白銀の刃が打ち鳴らされ踊ったのは、
 その儀礼より数瞬を要する事無き合間のことだった。
 打ち鳴らされるもつかの間、横薙ぎの斬撃が銀鱗の奇術師より飛び、
 それをまた白無垢を纏う癒し手が紙一枚の感覚の所で躱していく。
 そして、それに呼応するかのごとく更に凍気の槍が癒し手の手から放たれ、
 それを受け取った銀鱗の奇術師が魔術の力でそれを砕き、行動を止める。
 粉砕された氷の欠片が宙を舞い、美しい戦場のタペストリを織り成す中で。
 間断を許さぬ戦人の行動が感覚を開けさせることもまた、ないのだ。

 双方の肉体が躍動し、乱撃の刃が踊っていく。
 時として火花を散らし、時として一枚の絵を見るかのごとく踊る。
 一歩も譲らず、打ち鳴らされる音叉の間を薄氷一枚で双方潜り、共に舞う闘舞。
 それは、双方の技術が相応に揃い、また息が合わねば行うことも叶わぬ世界。
 技量の純粋なる拮抗を生み出す武人の御業だ。

 精緻で、時として機敏なるが如き技の数々。
 時に青や黄、赤の魔力が飛び、そして銀鱗の奇術師もそれに呼応するように、
 また魔術による対応の形で打ち消しては返す。
 太極図の如き乱撃と魔のつばぜり合いは、まさに芸術そのものだ。
 その中で、交わされる数瞬の目線。それは、双方の対話の構図。
 その会話の中で、全ての流れの決定を行なっていくのだ。その中で。)

『そろそろ終幕と行こうか』

(白の癒し手はそう、目で伝え。緑銀の奇術師も、それに答える。
 癒し手は残りのマナを全て凍気のそれに変え、呼気を整え詠唱に移る。
 一つの言葉は何重にも重なり、共鳴し、
 互いに互いを引き立てては更に新たな詠唱を呼ぶ。
 繰り返される言霊の中、それにより生み出される無数の凍気の矢が、宙に浮かんでいく。
 そして、その無数の矢が宙に浮き、癒し手の意を汲んで宙に形作る時。
 その撃鉄の引き金は、引かれるのだ。一つの言霊によって。)

――『連続詠唱/凍気の矢』(チェーン・キャスト/アイス・ボルト)

――『魔術連結』(スペル・リンク)
――『凍気の艦隊・一斉射撃』(アイス・フリート フルファイア)

(引かれた引き金は戻ることはなく、無数の凍気の矢は生贄を求めて飛び進む。
 通常の存在が見るならばそれは、ある種の絶望の壁となりうるのだろう。
 撃ちぬかれ、そのまま敗北を喫するという誰の目から見ても自明な絶望の未来。
 しかし、それすらも奇術師からすれば変えられる未来でしか無い。
 何十にも及ぶ死を超えて立つ、戦場の奇術師は、より鮮やかにそれを変えて見せる。
 鮮やかなる手管の一つが、そこに具現するには時間を要しない。
 行いは簡単だった。魔術師の隠されたツールの中から一つを選んで、使うだけだ。)

――『高速念動詠唱』(ファスト・サイ・キャスト)
――『魔術掌握:凍気の艦隊』(スペルホールド:アイス・フリート)
――『自壊命令』(セルフ・デストラクト・コマンドメント)

(通常ならば回避する所を奇術師は回避することはなく。
 その鮮やかなる手管を用いて相手の魔術の行使権限を掌握し、
 自ら軽々とその魔術を打ち砕いてみせる。それは、奇術師の本気の一つである。
 行使に要する魔力は後ほど補えばいい。それは、芸術性を極限まで高めた一つの解法。
 飛び散る無数の氷片が煌めく中で、双方の合意の上にそれは完成される。
 その輝きの中で、奇術師と癒し手は、出し尽くした充足感と共にそこにあったのだった。

 その充足感と共に、一つの芸術の幕は閉じる。
 艶やかなる一礼の中に、様々な感情と心理を織り込んで。

 一つの叙事詩が、ここに完成する。)
[51] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:31
翡翠の姫・エメルタ
「同族の戦いを見るようで親しみがありますね。意気込みを感じる演技でした」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「武器と魔術をともによくするなら、斯様な戦い方になるのだな」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「あそこはだな、なんつか、ゴリッとだな、ゴリッと」
評価:★★★

異端児・アドン
「うまく言えないけど、ふたりの間の信頼感みたいなものがあるような気がしたな」
評価:★★★★

総合評価:13点(20点満点)

 

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[21] 【長命参月】~相生の武~(青燐、紫雲霞月、黒藤虚月)
青燐(cbnt8921) 2011-11-28(月) 02:35
闕腋袍に袴。それは、壱番世界の服飾文化に詳しい者が見れば、平安時代の武官装束に似ている、と思ったかも知れない。
ただ、虚月は白、霞月は黒、顔をあらわにした青燐は薄い黄系統の色で統一してあるのが、異様といえた。
それに、いつもの青燐を知る者がいれば、その服の色に違和感を覚えたことだろう。
その三人は、審査員に一礼、そして、観客にも一礼。

三人が立つ足場の上に、何やらいろいろな図形やら文字やらが書かれた巻物が転がる。
自然に広がったこれこそ、罠師・霞月が仕掛けた、演武用の書画魔術罠。

審査員から向かって左に扇を携えた虚月、右に鞘に入った刀を差した霞月が立ち、五色(青緑・緋・黄・白・黒)の紐を付けた神楽鈴を持つ青燐は真ん中の奥際でに静かに座っている。
一歩、虚月が踏み出す。踏み出した先に書かれていた文字は「土」。
その言葉通り、虚月の足元に土塊が出現し、文字が消える。この土が、起点となる。
夢人と夜人の、戯れなる戦いの起点と。

虚月が一歩踏み出し扇で煽げば、土塊が細かい数多の砂のような金属に変化した。それは黄金の稲穂の如く、煌めいている。
その金属は一定の距離を保ちつつ扇の動きに合わせ、生き物のように動いていく。
それは罠「相生」「鉄砂舞」の効果であったが、知らなければ虚月が操っているように見えただろう。
虚月が、霞月に向かって扇を煽ぐ。同時に、金属も霞月へと向かっていく。
霞月は一歩踏み出し、「相生」「六花舞」と書かれた文字を踏みつつ抜刀。その金属たちの中心を薙ぎ、すぐに刀を鞘に収める。
すると、その金属は全て水と変わる。細かい水の粒が、今度は霞月の身体の動きに合わせて動く。
動いていくうちに、その水が二人の頭上2mのところへ集まり、雪片のようになっていく。
その途端、高い鈴の音がした。青燐の持つ神楽鈴だ。それを合図に、雪片がゆっくりと落ち、舞う。
また、虚月と霞月が互いの間を詰める。霞月が抜刀し一閃したかと思えば、虚月は扇を閉じてそれを受け止める。
互いに離れ、今度は扇を開いた虚月が、煽ぐのではなく一閃。鋭い軌道のそれは、だがしかし霞月の刀に阻まれ、金属特有の高い音がする。
不思議と、雪はやまない。

座ったままの青燐がそっと「相生」「花弁舞」の文字に触れ、鈴を鳴らす。
二人の周りを舞っていたいた雪片が、瞬く間に桜色をした花びらへと変わっていく。冬から、春へと変わったような。
それでも、二人の打ち合う速度は変わらない。
霞月が刀を振り下ろせば、虚月はそれを扇からの衝撃波で防ぐ。虚月が扇を一閃させれば、霞月は刀でそれを受け止める。
そんな二人の周りを、花弁は戯れに舞う。

ずっと中央の際に座していた青燐が、静かに立ち上がり、「相生」の文字を踏む。そして、高らかに鈴を鳴らす。
一定のリズムで鳴らす度に花弁が燃え上がり、細やかな火の花となって宙を舞う。
それは神に近き種族、調停者である天人が動き出した合図。
虚月と霞月は鈴の音に合わせ、打ち合う。その間に、何度も青燐にその扇のはためきが、刀の切っ先がかすめそうになるが、するりするりと抜けていく。
まるで、ここが線路だということを感じさせないかのような動き。

青燐は神楽鈴についた紐を巧みに操り、互いの得物の威力を削いでいく。
そして、黄色の紐が刀に巻き付き、緋色の紐が扇を閉じさせる。
リン、と鈴が鳴れば。火の花は灰になり、真っ白な巻物の上に降り積もり土へと戻る。
また青燐が鈴を鳴らせば、その土は最初から無かったかのように消える。それは、演武の終演。
紐が解かれ、虚月と霞月は互いの得物を収め、審査員たちに一礼。最後に、観客たちに一礼。
[50] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:30
翡翠の姫・エメルタ
「あまりなじみのない装束ですね。遠い異国の美しい舞を見たようです」
評価:★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「見応えがある。剣の技もなかなかのものだ」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「見応えがある。あの白い女の胸はなかなかのものだ」
評価:★★★★

異端児・アドン
「いろんなものがあらわれては消えて……不思議だな……」
評価:★★★

総合評価:14点(20点満点)

 

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[18] 【氷鱗】(グラバー、グレイズ・トッド)
グラバー(cdhz9123) 2011-11-27(日) 13:56
足場の上に二つの人影が上がる。
1つは何故か大きな人形を持ったグラバー。
もう一つの人影はいつも通り不機嫌そうな表情をしたグレイズ・トッドだ。

グラバーは人形を抱えてのっそり足場の真ん中に近づく。
「…コレ、敵。」
人形を立たせて置きながら、おそらく審査員に聞こえないであろう声量で言う。
そしてまたのっそり審査員席の方に近づき、ぎこちなく頭を下げる。
そんなグラバーに対してグレイズは足場の端に立ち、不機嫌そうに審査員を見るだけだ。
グラバーが頭を上げ、一瞬まっすぐ審査員の方を見る。
そしてそのまま能力【斥力】使用して、滑るように音もなく足場中央へ飛んで行く。

人形の前で一瞬止まり、グレイズの方を見る。
そして面倒臭そうに分かったとグレイズが頷くのを見て、何処となく満足げに頷き返す。
そして無言のまま人形へ右足で足払いをかける。
バランスを失ってぐらりと倒れかかる人形。
その足元へ、くるりと回りながら人形に背を向けるように両手をついてしゃがみこむ。
そして人形の腹を左足の裏で下から上へ後ろ蹴りで蹴り上げる。
蹴りは狙い通り人形の腹に入り、人形はギアの【斥力】で空へと吹き飛ばされていく。
グラバーも【斥力】を使い、人形の後を追って上空へふわりと飛んで行く。

「…ちっ、面倒臭ぇ。」
グラバーが人形を追って飛んで行くのを見て軽く舌打ちする。
短いため息の後、上空へ両手を伸ばして能力【氷魔法】を使用する。
最初は湿り気もなく澄んでいた空気が、足場の中央3mほど上空を中心にゆっくりと白く霞み始める。

人形を追って飛んだグラバーはというと。
足場の15m位上、人形の周りをクルクルと高速で飛びまわっている。
その動きに合わせて人形が見えない壁に叩きつけられているように跳ねまわっている所を見る限り、ギアか何かで攻撃を加えているのだろう。
一瞬、ちらりと下を見てグレイズの【氷魔法】が発動したのを確認すると、攻撃を止めて人形を【斥力】で空中へ固定させ、ゆっくりとグレイズの方へと降りていく。

グラバーが降りてくる。
それとほぼ同じタイミングで白く霞んでいた空気が、今度は澄んでいく。
見えてくるのはズラリと並んだ小指ほどの大きさの氷の針。
本来ならば、重力で落下するはずの氷の針はグラバーの能力【斥力】でふわふわと浮遊している。
「…良イ?」
足場の中央に降りてきたグラバーがグレイズにボソリと尋ねる。
「…ああ。」
グレイズは一言、手を氷の方へ伸ばしたままそう答える。

その言葉を聞いたグラバーは満足げに氷の針の合間を縫って【斥力】で空へ飛んで行く。
氷の針はグラバーの【引力】によって、グラバーの後を追うように高速で飛んで行く。
氷の針同士が時々当たるのかキンキンという甲高い音が聞こえる。

「ちっ、もう少しゆっくり飛べよ!」
グラバーがウネウネと何かの鱗のように動く氷の針を見せるようにぐるりと足場の上を飛び回る。
その間グレイズは氷の形状を維持するため、真剣な顔でグラバーと氷の針の動きに合わせて手を動かしている。

その言葉が聞こえなかったのか、グラバーはさらにスピードを上げ、一直線に人形へと向かっていく。
グラバーが人形の傍を通りすぎる瞬間、氷の針はバラバラとグラバーを離れる。
そして氷の針は人形を中心にした半径3m程度の球状に広がっていく。
氷の針のやや上でグラバーは急に止まって、空中で固定した人形を振り返る。
「…終ワリ。」
そう言いながらおもむろに右手を人形の方へ差し出す。
そしてゆっくり握りこぶしを作り、人形内部に【引力】を発生させる。
人形の表面が引力によってべこりと凹み、小さくなっていく。
引力によって氷の針が人形へ向かって先ほどよりも高速で飛んで行く。
氷同士がぶつかる音なのか時折ギンと言う音を立てながら、氷の針が次々に小さくなった人形に刺さっていく。
そして全ての氷が刺さり、人形が氷の中に閉じ込められる。
それを確認すると、グラバーが握っていた拳をゆっくりと開き人形内部に発生させていた【引力】を【斥力】に切り替える。
その瞬間、氷がバキンと音を立て人形ごと砕け始める。
砕けた氷は細かい粒となって、辺り一面にキラキラと光りながら降り注ぐ。
そして足場に当たった瞬間、カンという小さな音を一つ立てて溶け去っていく。

やがて最後の氷の粒がか弱い音を立てて、後に何も残さず消える。
それを見届けた後、グラバーは帽子の位置を修正する。
と言っても、【引力】で頭に固定しているのでズレているはずなど無いのだが。
そして、帽子の位置を修正した後、
「…見ル、アリガトウ(『見てくれてありがとう』)。」
とぎこちなく言い、グラバーは静かに頭を下げ足場を降りていった。
「…ふわぁあ。やっと終わったぜ。」
それを見たグレイズもあくびを一つ残してポケットに手を突っ込み、同じように足場を降りて行った。
[49] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:30
翡翠の姫・エメルタ
「氷を操る術とは初めて目にしました。ああいう技もあるのですね」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「手練の戦士の実力は感じる。力を風格として見せてもらえるとより良かった」
評価:★★

首狩り大将・オウガン
「そうだな、もうちょっとこう、グワン!ときて、ズゴン!って感じだとよかったんじゃないか」」
評価:★★★

異端児・アドン
「実践的だな。戦場では出会いたくないって感じだ」
評価:★★★

総合評価:11点(20点満点)

 

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[17] Lacrimosa~抄録~(東野楽園の演武)
チェシャ猫の微笑
東野 楽園(cwbw1545) 2011-11-27(日) 01:07
一人の少女が舞台に歩いてくる。

交互に踏み出す爪先を包むのは、黄金で胡蝶の縁取りを施した漆黒の布靴。

眼下には雲棚引く峻険な山々、背景には無限に広がる青空。
その雄大な眺望を、人はおそらくこう評するだろう。

『楽園』。

少女の装いは決して華美なものではない。
身に纏うドレスは上等だがクラシカルなデザインで、壱番世界の人間の価値観に照らせば、些か時代錯誤な感が否めない。

喪服のような、と誰しも連想するだろう。

事実、少女は喪に服している。
孵化しなかった雛鳥が固い殻の中で微睡み死ぬように。
自らを殻に閉ざし、永遠に還り行く何かを悼むかのように。

それは泡沫と消えた恋への弔歌ー鎮魂歌。

少女は優雅に一礼する。
丁寧に梳いた絹糸を思わせる黒髪がさらりと揺れる。

閉じた瞼がゆるやかに開かれ、空気の重さに耐えかねたように睫毛が震える。

その時になり、観衆は初めて気付く。
少女が無気力に垂らした片手に握る、巨大な鋏の存在に。

華奢で非力な少女が持つにはあまりに不似合いな武器、そして凶器。

彼女のトラベルギアである。

鋏が放つ剣呑な存在感に薄ら寒いものを感じ、やや気圧された観衆を蠱惑的な黄金の瞳で一瞥し、ごく緩やかな動作で片腕を虚空に延べる。

優しく残酷な幻覚に、今、この時限りのダンスを乞うような動作で。

「さあ、踊りましょう」

小さく呟き、彼女ー楽園は踊り始める。
線路の上、不安定な足場をものともせず、蝶のように舞う。

重力の枷から解き放たれかの如く軽やかな動き。

不可視のパートナーと手を取り合って踊るかの如くステップを踏めば、空気が何重にも波紋を生じる。

もう片方の手には鋭い鋏。

動きに緩急が生じる。
少女の動きが加速する。
ドレスの裾が風を孕んで翻り、次第に激しさを増しゆく動きに髪がうねり狂う。

楽園は鋏と踊る。
鋏を振りかざし振り回す。

刺突。
撫で斬り。
旋回。
反転。

一つ一つの動作が殺意に研磨され切れ味を増す。

魅せて酔わす芸術性の高さよりも憎しみの昇華を目的とした演武は、あるいは彼女の自己表現の一手段だったのか。

弧を描く番いの刃。
虚空を走る銀の残光、鋭利な残像。

見えざる誰かを無慈悲に切り裂く。
その血潮を浴びて薄く微笑む。

より苛烈に、より凄烈に。

かと思えば鋏を持たぬ繊手はたおやかにしなやかに空を泳ぎ、清冽な光を奏で爪弾く。

楽園に届けと祈るように、
掴めなかった何かを掴もうとするように。


トン、


軽い足音を立て線路の中央に降り立ち、上品にドレスの裾を摘まんでお辞儀。

演武がしめやかに幕を閉じる。

薄い胸に吐息を逃がしてゆっくり上下させ、楽園は呟く。

「……これが、私の演武」
[48] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:29
翡翠の姫・エメルタ
「たいへん美しい……。それに、なにか胸に迫るものがあるような気がします……」
評価:★★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「演武というよりは舞踊だが、気迫は感じる」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「もうちょい大人になればいい女になりそうだな」
評価:★★★

異端児・アドン
「なぜかわからないけど、ちょっと切ないような気持ちになるな……」
評価:★★

総合評価:13点(20点満点)

 

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[14] 【炎雷爆閃】チーム(メンバー:小竹 卓也、チェガル フランチェスカ)
小竹 卓也(cnbs6660) 2011-11-27(日) 00:12
両側からいつもの格好の小竹、そして普段の重装備ではなく剣の鞘1つだけを腰に挿したフランチェスカが歩いて来て、舞台の真ん中にて互いに一礼。
そして審査員達に2人して向いて一礼、観客にも一礼、再び2人が向き直る。
フランチェスカがバスタードソードを引き抜き、小竹がトラベルギアの棒をパスホルダーから抜き出す。
直後、後方に控えていたメーゼから小竹へと火球が発射されるが、小竹はそれをギアの先端に括りつけた朱金色の小刀で受け止めた。
炎を纏ったそれが、まるで生き物の様に小竹が棒を回すその先端の軌跡を描きながら翻る。
同時にフランチェスカのバスタードソードが紫電を帯びた。蒼にも紫にも見えるその雷の剣をまるで奉納剣舞をするかのように操り舞い踊る。

舞台の真ん中を挟んで、動き回り踊りまわる赤と青の軌跡。まるで演武ではなく演舞、ダンスバトルをしているかのように2人の動きが激しくなり―――
舞台の真ん中で甲高い金属音と一瞬のフラッシュ。互いに振り回した切っ先が接触、そして離れていく。
互いに身体を回転。上から下に振り下ろされる雷と下から上に振り上げられる炎が追うその回転の軌跡の終着点で再びフラッシュ。獣竜の体勢が剣を振り切りながら前倒しに低くなり、駆けた。
胴を斬りつける紫電を縦に構えられた棒が受け止めて火花が散る。瞬間的に身を翻して離れたその身体を追って炎が振り下ろされるが追いつかず、続けて下から上に抉りこむように突き出された切っ先が剣の腹に受け止められ、閃光を放ちながらフランチェスカを宙に高く飛ばす。
空中で一回転して着地するフランチェスカ、余波でたなびく竜の毛。一瞬の間をおいて小竹が再び1回、2回、3回と連続で突きにかかる。
連続で迫りくる炎の刃を避け、剣で受け流しフランチェスカが一歩、大きく踏み込んだ。
下から上へと振り上げられる雷の刃を大きく後ろへと下がって避ける小竹。飛び上がったフランチェスカの身体が後ろへと回転しながら電磁加速で下がり、宙を蹴る様に瞬時に前へと跳ね出される。後を追う雷の軌跡が真っ直ぐに振り下ろされ、棒と噛み合い火花を散らす。
着地したフランチェスカが大きく一歩を踏み出しつつ袈裟斬りに斬りつけ、小竹が真っ向から、再び棒でそれを受け止めた。
炎と雷に包まれる鍔迫り合い。互いに体重を武器にかけ、顔が近付いて行く。
と、唐突にその2人の身体が離れた。最初と同じように自らの持つ獲物を、軌跡で複雑な文様を描くように回し、振り回す。
メーゼからさらに炎が放たれ小竹の炎の槍がその穂先をより燃え上がらせる。
フランチェスカが天に剣を掲げる様に突き出し、全身から雷が吹きだし始める。
小竹が前方に構えた炎の穂先が膨らみ、徐々に形をなし始めた。
フランチェスカも全身に帯電させ、その身を雷の竜その物へと変える。
炎が膨らみ、長い顎、牙、そして鱗に覆われた竜の頭部を形成し、眼窩から炎の目が現れてフランチェスカを睨みつける。
それを見たフランチェスカの足が撓み、前方跳躍。空中で更に前へと電磁加速し、超高速で炎の竜へと突っ込んだ。
突き出される槍、その穂先の竜の顎が開かれ―――鋭い光が辺りを包む。

雷と炎が爆ぜる音。

数秒と立たずに消えた光の先、
小竹は炎の消えた槍を突き出した体勢で固まっており
フランチェスカはその槍を片足で押さえながら、小竹の首元に剣を添えていた。


ゆっくりと2人の身体が離れる。
開始時にいた位置まで2人が戻り、一度構えなおした後に構えを解き互いに一礼。そして審査員達に向き直り一礼。
観客達に一礼をして、そして最後に再び互いに一礼をして、演武終了となった。
[15] ヒャァ!もう我慢できねぇ!
テンション低め
小竹 卓也(cnbs6660) 2011-11-27(日) 00:18
さっさと演武してこの緊張から解放されちまおうぜー!

というわけでつい先程そこで見かけて話が合ったフランさんと演武をしたわけです。
あ、ちなみにギアの先端についていた朱金色の小刀ですがこれ、なんか炎を操れる代物ってことで試してみました。迫力が出ていれば幸い。
え?どこで入手したのかって?シャンヴァラーラでですよ!(あくたうた、より)

……練習中に何度も棒を頭にぶつけたのは内緒。

そんなことよりドラグレットの皆さんー!俺だー!皆さんの好みが分かって色々突っ込みたいですぜー!
[16] いいや限界だッ!演じるね!

チェガル フランチェスカ(cbnu9790) 2011-11-27(日) 00:25
とまぁ、卓也からいきなり抱きつかれそうになって思わず迎撃したりしちゃったけど演武の話を持ちかけられたので乗ってみた結果がこれだよ。

んー、ボクの方からは特に言うことはないかな?
強いて言えばもうちょっともふもふ感とか胸とか強調したかったかなー、なんて。
え?それは露骨すぎるって?
勝てばいい、それが全てだ!(キリッ
[47] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:28
翡翠の姫・エメルタ
「炎を用いたことで華やかになりましたね。見入ってしまいました」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「槍の動きはよく訓練されているように思う。良い演技だった」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「火がついたり、雷みたいのが出たりするのが凄いよな。あれ、どうやってんだ?」
評価:★★★★

異端児・アドン
「演武らしい演武だな。息も合ってたと思う」
評価:★★★

総合評価:13点(20点満点)

 

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[1] 【場内販売】(雑談スレッド)

柊 マナ(cpyf7280) 2011-11-23(水) 12:37
おせんにキャラメル、アンパンにラムネはいかがですかー?

※雑談スレッドです。
〜〜発言が11件、省略されました〜〜
[13] 徐々に人が集まってきたね
「こんにちは!」
神園 理沙(cync6455) 2011-11-26(土) 21:03
>優さん
あ、初めまして。
私は神園理沙って言います。(軽くお辞儀をする)
肩に乗っているのは、ラーウス。ラー君って呼んであげてください。
ラ「ホウ!」(口の周りにおせんべいの食べかすをつけたまま、片羽を上げる)
ラムネ、懐かしいですよね。小さい頃飲んでたこと思い出して、久々に飲みたくなったんです。
優さんも参加するんですか?無茶しない程度に頑張ってくださいね!

>(一一 一さん)
(あれ?どっかで聞いたことがある声だなと首を傾げるも、思い出せないらしい)
はい。私はこういうの参加するよりも見ている方が好きなんです。
格闘が好きって言うよりも、人の頑張っている姿を見るのが好きなんです。
あ、私神園理沙っていいます。貴方は?

>(ゼシカちゃん)
そうだよ。ラーウスって言うんだ、ラー君って呼んであげて。
(ラーウスは理沙の方から飛び降りた。不安定に羽ばたいているが、無事にゼシカさんの手の上に着地した)
ラ「ホウホ」
アシュレーって貴方のセクタンのお名前?
お手伝いしてくれるんだ、凄いね。
[19] (お返事が遅くなりました…)
よろしくな
テオドール・アンスラン(ctud2734) 2011-11-27(日) 17:18
>(一一さん)
興味深くは有るんだが、今回は観覧だけの予定なんだ。連れもすっかりそのつもりなんでね。
(ちらりと見やった先には、敷物の上に弁当や飲み物が入っていると思しき容器を広げた一団の姿が。ごく普通の運動会の観客席で見られる光景と似ているが、ヴォロス上空のプラットホームという場所のせいか、却って違和感が有る)

(応募者の皆さんとのやり取りを拝見しつつ)
仲間が集まったみたいだな。健闘を祈るよ。
…あぁ、これから演武に参加するなら、体を温めておいた方が良いよな。
良かったら、一杯どうだ?
(敷物の上のお茶が入った容器と紙コップを見やる)

遅くなったが、俺はテオドール・アンスランだ。宜しくな。

>優
(テオドラと呼ばれて)
そっちの名前も覚えていてくれたのか…嬉しいよ。
(穏やかに微笑む。が、目は虚ろ。傍の敷物の上で、サンドウィッチを頬張っていた少年が「ゴフッ」と奇声を発し、慌てた様子でテオドールの上着の裾を引っぱると、正気に返る)
…あぁ、こちらこそ、同じ会に参加出来てとても楽しかったよ。また、どこかで一緒になる機会が有った時には宜しくな。

それより、優は演武に参加するんだな。
どんな物を見せてもらえるのか、楽しみにしているよ。

>(ゼシカさん)
(ゼシカさんと視線が合うようにそっと腰を落とす)
こんにちは。俺はテオドール・アンスランだ、よろしくな。
(にこりと微笑む)

コンブは海に生えている植物の名前だな。料理に使ったり、菓子にしたりするんだ。
(何やら的外れな説明を始めた)
…そう言えば、だいぶ前にロストレイルの車内販売で「酢こんぶ」という菓子を扱っていると聞いた事が有るな。
(マナの方を振り返る)

チクワブ…何だか不思議な言葉だ。あんたの世界にある物の名前だったりするのかな?
[20] (中の人の緊張はマッハ)
何か良い事あるかな~。
一一 一(cexe9619) 2011-11-27(日) 22:39
>ゼシちゃん
わ、ちっちゃい子! わぁー、初めまして。君も運動会に参加してるのかな?
あらら、迷子かぁ……って、似顔絵まで準備済とは最近の迷子は用意周到ですね。
残念だけど見てないなぁ。でもこの似顔絵なんか見覚えがあるよーなないよーな…?

えっ、いやこれは踊る人っていうか戦う人っていう、か……。
(一生懸命な瞳に見詰められた。思わず目を背けた)
君の瞳に完敗…! よしっ、戦闘能力の無さは間違いなさそうだし、
ゼシちゃんもチームの一員だ! 一緒に頑張ろうねー。
ただし何か危ない事があったらあの辺のお兄さん達に助けてもらってね?
(相沢さんとヒナタさんを指差し。全力他人任せ)
あ、私は一一 一っていうんだ。よろしくね、ゼシちゃん。

>鹿毛さん
フフフ……ただの只者と侮って貰っては困るな!
人種の坩堝たるターミナルにおいて、徹底的に一般人街道をひた走る者……それが私だ!

……と、ここまで壮大な自己紹介ということで。
ご丁寧にどうもどうも! 何だかんだで最年長ですね、ファイトですお兄さん。
セクタン連れてらっしゃるって事はコンダクターの方なんでしょうけど、
鹿毛ってなかなか珍しい苗字ですね。ちなみにお名前の方をお伺いしても?
(笑顔で地雷原に土足)

>優さん
ままま、どういう結果になるかはその時にならなきゃ分かりませんからね。
突然の失敗も醍醐味ってヤツですよ。後は野となれ山と成れ!(駄目発言)
チーム名かぁ。まあ優さんの意見も参考にしつつ何か適当に考えておきましょう。
フッフッフ、私のネーミングセンスがキラリと光って流れ星のごとく失墜しますよ!

>神園さん
ふふ、そういうのも立派な一つの楽しみ方ですよね。
よおし、ではまた後ほど、我々の雄姿もたっぷりと拝んで頂きましょう!
……あ、やっぱ嘘あんまマジマジとは見ないで下さい。チラッと見たぐらいな感じで一つ…。
(遅れてやってきた羞恥心)

ん? 神園さん? 神園……あーッ!!
お姉さんもしかしてハロウィンの時舞踏会に居た方ですか! わー、お久しぶりです。
こんな所で会うなんて奇遇ですね。私です、一一 一です。覚えてらっしゃいますかね?

>テオドールさん
おやや、それは残念。ふふ、お兄さんの腕っ節はまた違う機会に拝見すると致しましょう!
って、あちらがお連れさんですか! これはまた見事な運動会ムード……何故だろう、
とても正しい運動会の風景の筈なのに、背景状況その他諸々と合わさりとても違和感が…。

へへへ、心強い仲間が集まりましたよ。これは演武にも熱が入るってなもんです!
って、おお、お…!? 私の心が読めるとは……ハッ、まさかお兄さん読心術系の
能力持ちだったりする系ですか!?(分かり易過ぎただけ)
えへへ、ありがとうございます。有難く頂戴します!

おっと、名乗り遅れました。私は一一 一と申します、どうぞお見知り置きを!
[23] 実は、疲れているのかも知れない
今日もよろしくな、タイム
相沢 優(ctcn6216) 2011-11-29(火) 15:23
>ゼシ
ああ、ゼシはすごいと思うぜ。じゃあ、今度是非、頼むな。
とりさん・・・?ツーリストの人かな?
ハロウィンの大騒ぎがあったのは、確かターミナルだったよな。
ターミナルなら親切な人が多いから、迷ってもきっと道を教えてもらって無事、家についたと思うよ。

そうか。・・・・・・・・・ん?
なんか、よく知っている人にあてはまる条件ばかりなんだけど。それ。
え、それって・・・。え・・・!?

>理沙さん
理沙さんもラー君も、よろしく!
・・・なんだか大変器用ですね、ラー君(笑)
あ、こっちは俺のセクタンのタイムです。良かったら、仲良くしてくれると嬉しいです。
演武は、なんとか頑張ってきます!とりあえず、トンデモないミスしないといいなぁ(笑)

>テオドールさん
あはは。テオドールさんは、すごく綺麗でしたよね。
なんというか、すごく堂に入っていたような気もします。
ええ、演武は一たちと一緒に挑戦してきます。
自分でもどんな感じになるのかわからないので、ドキドキしますが(笑)
かなり緊張しますけど、がんばってきます!(グッ)

>一
それって・・・!いや、待て俺!いま突っ込みをすれば無駄な体力を消耗するだけだ。
もう今回はだいぶ突っ込みまくて、そろそろ突っ込みパワーゲージがレッドゾーンだ!いざという時の為に、力は温存すべき・・・!
ここは突っ込むな。突っ込むより・・・むしろボケろ俺!
よし!

じゃ、気を取り直して―――
ああ、後は野となれ山となれだな!こういうのは、すべて勢い勝負で当たって砕ければ完璧だよな!(グッ)
ははは。大丈夫、大丈夫!掌に人って書いて飲みこめば、きっと緊張しないし失敗も派手な奴しかしなくしなる!(駄目発言)
[28] 本番前の発言と言うことでひとつ
爽やかな笑顔(主観)
鹿毛 ヒナタ(chuw8442) 2011-11-30(水) 22:39
>相沢(さん)
んー、結構擦れ違ってもいるな、入り乱れすぎて話を交わす余裕もなかったりなー。
武術をやってる人間とずぶの素人じゃ、動作の基礎がそもそも違う気がするぞ。
脇の締め方とか、足運びとか、重心の置き方とか、体で覚えてること多いだろ?
俺は専らそれを端から見て感じる方だけど。
絵でもなんでも、重心が不安定だと嘘っぽく見えるもんだ。
そう……幸いにも俺のギアは融通利くから、心置きなく黒子を目指すぜ!
イメージだけならできるんだ、体がついていかないんだ……。 

>ゼシちゃん
かたぐるま? してもいいけど、うまく上げ下ろし出来っかな。
そこの相沢くんにサポートしてもらえば安全かな、万一落っことしたら大変だからね、なんか騎馬戦じみてきた。
おっきくならなくても、練習すれば字は上手くなるよー。むしろ小さいころの練習が肝心だよー。じゃないとおっきくなっても下手のままだからねーこわいねー。

絵が好きなんだ? うんうん、伸び伸びと描くといいよー。
子供の時に技巧へ走ると、大人受け悪いしね……(何か思う処があるらしい)
俺の絵? どうだろう、ゼシちゃんが見て面白いかなあ。
子供って原色とか好きだよな……(小声)
そうだ、パンダとシマウマとホッキョクグマとマレーバクとシャチ、どれがいい?(凄い逃げ)

>一ちゃん(大変お疲れ様でした! これから読みます)
じゃあ、異常な只者……いや、異常に只者か。
超常に包囲網されると、「一般」の基準が崩壊するよね。「普通」が個性になるよね。

そう言えば、もしかしなくても俺が一番おにいさんなのか。
これ依頼でも何度かあったよ、俺ハタチよ、ロストナンバー未成年君臨しすぎどうなってんの。「大多数の大人は大人しく0/壱番世界で普通に生活を営んでる説」が俺の中で浮上してきたよ。
あ、なまえ?
……そだね。エントリーの際に、記名必要かもだしね。
ヒナタだよ。……かわいいだろ? ちょっとおんなのこみたいだろ?
(意図的に焦点をずらしているらしい)

 

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