イラスト/Zio

オープニング

「やあ、みなさん。ロバート・エルトダウンです。私は今、壱番世界のトルコにいます。実は、さきほど、ここで世界樹旅団のツーリストに遭遇しました。どうやら、なにかたくらみがある様子で……」


 その日、ロバート・エルトダウンは、壱番世界、トルコ共和国の首都・イスタンブールを訪れていた。たまたまぽっかりとオフの日ができたので、ふと思い立ち、自家用ジェットで訪れたのである。イスタンブールは世界で初めてコーヒーハウスができた都市だと言われている。美しい街並みを散歩しながら、トルココーヒーの店で一息つこう、としていたそのとき。

「はい、送信っ……と。ふぅー、終わったわ。まさかこんなに数があるとは思わなかったわ。ドクタークランチったら、なんて面倒くさい仕事をおしつけるのかしら」
「でも楽しみなことだな。この世界は面白い。いろんな風景があって飽きないしな」

 奇妙なふたり組だった。
 ひとりは……絵本に出てくるような、フェアリーそのものだ。どこかアラビア的な衣装に身をつつみ、透き通った羽で空中に浮かんでいる。そしてもうひとりは、対照的に大柄な――というより巨大な、2メートルを超す身長の巨漢で、その頭は人間ではなく、虎に酷似していた。言うなれば虎獣人だ。探検家めいたサファリルックである。

 人々は、映画の撮影かなにかかと、遠巻きにふたりを見守る。
 ロバート卿は、むろん、ふたりの頭上に真理数がないことに気づいていた。そんなことを確認するまでもなく、ふたりがロストナンバーであるのはあきらかだったが。

 問題は、妖精が口にした「ドクタークランチ」という名前だ。
 それが世界樹旅団の幹部の名であることを、彼も記憶していた。
 すばやく、トラベラーズノートでターミナルに連絡をとる。

「あ!」
 しまった。妖精と目が合ってしまった。
 こちらもロストナンバーと気づかれてしまっただろう。
「きみたち……」
 やむをえず、ロバート卿は一歩を踏み出す。後ろ手に、トラベルギアのメダルを用意したところまではよかったのだが。
「縄さん、縄さん、あいつを縛って吊り下げちゃって!」
「!!」
 どこからともなく、ロープが飛来して、ロバート卿にからみつく。
「さ、今のうちに逃げるのよ、トラファルガー!」
「逃げるってどこへ?」
「どこでもいいわよ! さっさと飛びなさい!」
「しょうがいなァ、もう。……タイガ~~~~ジャーンプっ!!! 飛びます! 飛びます!」
 虎獣人が奇妙な動きを見せる。
 なぜか壱番世界のコメディアンの動きに酷似していた。
 次の瞬間、マンガのように、ぼわん、と立ち上った煙を残して、かれらの姿は消え失せていた。
 だが、かれらがいた場所に、1冊の本が落ちている。慌てて、落としていったのだろう――それは壱番世界で市販されている書籍で、「世界遺産」に関するガイドブックであった。


「……というわけです。頭に血流が豊富なせいか、思い出したのですが、あの妖精のようなツーリストは、シェイムレス・ビィと呼ばれていた旅団のロストナンバーでしょう。トラファルガーと呼ばれたツーリストは瞬間移動の能力を持っているようです。かれらがここで何をしていたのかはわかりませんが……とりあえず、まずは私を助けてもらえませんか?」

 以上が、イスタンブールで、コーヒーハウスの軒先にロープでぐるぐる巻きにされ、逆さ吊りにされたロバート・エルトダウンからの通信である。
 至急、ロストレイルが壱番世界へと出発する。
 世界司書の『導きの書』には、消えた敵ツーリストたちの情報が浮かび上がっていた。

ご案内

壱番世界に出現した世界樹旅団のツーリスト、シェイムレス・ビィとトラファルガー。いったいふたりは何をしていたのでしょうか? ふたりを捕まえて、旅団のたくらみを暴きましょう!

かれらは、トラファルガーの超遠距離瞬間移動能力により、壱番世界内を逃げまわっています。世界図書館はかれらの転移先へ先回りすることで、ふたりを捕獲する作戦を展開します。

※このイベントはフリーイベントです。どなたでも無料で参加できます。部分参加・途中参加もOK! お友達と誘い合わせての参加も歓迎です。

■ゲームルール
シェイムレス・ビィは、「世界遺産のある場所」へ次々と転移しています。この作戦は全7ターンで行われます。7ターンの間にビィたちを捕獲できなければ、かれらは迎えにきたナレンシフによって逃亡してしまいます。

ビィたちを捕獲するには、毎ターン、世界中のどこかの「世界遺産」にあらわれるビィたちを待ちぶせし、同じ場所にいなくてはなりません。ロストナンバーたちは手分けして、各地の世界遺産に散り、待ち伏せします。

なお、『導きの書』による情報で、トラファルガーは「自分に対立する意志とその名残」がない場所にしか出現することができません。そのため、「今回の作戦で、誰かが一度でも訪れた場所」に出現することはありません。また、かれら自身が一度訪れた場所にも二度と転移しません。

第1ターン開始以前に、ビィたちはトルコの世界遺産「イスタンブール歴史地区」に出現していますので、このあとずっと「イスタンブール歴史地区」には出現しません。つまり、一人でも多くのロストナンバーが、各ターンにさまざまな場所に赴くことで、敵の出現可能範囲はどんどん狭まり、かれらを捕まえやすくなるでしょう。

■スケジュール

第1ターン4月21日(土) 12:00 ~ 4月22日(日) 21:00 →→→結果
第2ターン4月23日(月) 00:00 ~ 22:00 →→→結果
第3ターン4月24日(火) 00:00 ~ 22:00→→→結果
第4ターン4月25日(水) 00:00 ~ 22:00→→→結果
第5ターン4月26日(木) 00:00 ~ 22:00(行われません)
第6ターン4月27日(金) 00:00 ~ 22:00(行われません)
第7ターン4月28日(土) 00:00 ~ 24:00(行われません)


■参考情報
解説:世界遺産とは……?
壱番世界の人々が、「人類が共有すべき普遍的な価値」をもつものとして認め、国際条約により保護することにした遺跡や景観のことです。壱番世界の自然や歴史の豊かさを象徴するものと言えるでしょう。

■参加方法
このイベントは終了しました。ご参加ありがとうございました。


侵略の植樹

ロストナンバーたちの尽力の結果、シェイムレス・ビィを捕えることに成功しました。結果、あきらかになったのは、世界樹旅団が壱番世界の世界遺産18か所に対して襲撃を計画していたことでした。壱番世界に『世界樹の苗木』を植え付けようとする世界樹旅団の作戦は、事前に襲撃を察知できたことにより、すべて阻止することができたのでした。

シナリオタイトル担当ライター
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螺旋特急ロストレイル

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